回は「三社詣」についてご紹介します。実は、三社詣は福岡を中心とした九州や中国地方の一部にしかない風習なのです。どうしてお正月に三社をお参りすることになったのか、その起源や意味についてと、定番の三社詣コースといつもとちょっと違う三社参りにおすすめの神社をご紹介します。
三社詣の起源
福岡ではお正月の初詣に三つの神社へお参りすることが習わしになっています。福岡など九州地方に住んでいれば、特別に感じることはない普通の習慣ですが、全国的にみるとかなり珍しい風習のようです。
では、なぜ福岡では三社詣が行われているのでしょうか?
三社詣、または三社参りの起源には諸説ありますが、有力な説は次の2つです。
1つ目は、朝廷のマネをしたというもの。朝廷とは、天皇が治める政治機関のことですが、その昔、朝廷が「伊勢神宮」「賀茂神社」「石清水八幡宮」の三社に奉幣(ほうへい)していたのに習い、庶民が三社に参るようになったという説です。
ちなみに、奉幣とは、神に幣帛(へいはく)を奉ること。幣帛というのは、神前の供物のことです。
そして2つ目の説は、「氏神様」「産土神」「鎮守神」の三つの神様に新年のご挨拶をするという意味で、三社詣が始まったとするものです。
氏神様とは、先祖代々の守護神、産土神は生まれた場所の神様、そして鎮守神は、今住んでいる場所の神様なのですが、お正月にお詣りするのにふさわしい感じがしますね。
江戸時代には、福岡藩の藩主であった黒田家も三社詣をしていたそうで、福岡での三社詣の歴史は古いようです。黒田家が参っていたと言われているのは、「住吉神社」「日吉神社(山王)」「筥崎宮」の三社で、福岡の人には馴染みがありますね。
三社詣のしきたりは?
歴史ある三社詣ですが、意外にも決まったしきたりなど、ルールはないようです。元日に三社すべてに参らないといけない、三が日の間に参ってしまわなければならないといった、特別な期限もありません。
極端な話ですが、1年かけて三社詣してもよいそうで、要はお参りする人の気持ちの持ちようということかもしれませんね。
昨年1年間の感謝と、新しい年も無事に過ごせるようにとの願いを込めて、三社参りをしてみましょう。
どの三社にする?回る順番は?
さて、三社詣といってもどの神社にお参りしたらいいのか、何か決まりはあるのでしょうか?
実は、これについても特別なしきたりはないようです。地域によって定番の三社がある場合もありますが、基本的には自由。好きな神社を巡ってもいいし、毎年お参り先を変えてもいいのです。回る順番もどちらが先というのはありません。
このように、特に決まったルールがない三社詣。だからこそ、長い間定着した風習なのかもしれませんね。
福岡の三社詣定番コースは?
福岡で三社詣と言えば、
- 太宰府天満宮
- 宮地嶽神社
- 筥崎宮
が定番コースです。しかしながら、この三社はかなり距離があり、1日のうちに巡るのはなかなかに至難の業です。特に元日から三が日は大変な人混みになるため、移動もスムーズにはいきません。
お正月のうちにこの三社を回るのには、かなりの覚悟が必要です。混雑覚悟で、しっかり準備してから出発しましょう。
【太宰府天満宮】
学問の神様・菅原道真公が祀られていることで全国的に有名な太宰府天満宮。受験生が学業のお守りを求めて多く訪れる神社でもあります。今年は“令和”の由来ともなった万葉集の「梅花の歌」で注目を浴びました。「梅花の歌」の作者は大伴旅人といわれており、彼は太宰府長官だったのです。
毎年、太宰府天満宮を訪れる参拝客は約200万人と言われますが、今年はさらに多くなる可能性もあるので、時間はゆっくりみておきましょう。
西鉄電車で天神から約20分程度で行けますが、お正月三が日は臨時直行便も運行します。車より電車ででかけることをおすすめします。
【宮地嶽神社】
「三つの日本一」や「光の道」でも知られる宮地嶽神社は、福岡県福津市にあります。
三つの日本一とは「大注連縄」「大鈴」「大太鼓」です。本殿へ着くまでに「大鈴」と「大太鼓」を見ることができるので、ぜひそれらも見物しながら本殿へ向かいましょう。
本殿では大迫力の大注連縄がお出迎えしてくれます。こんなに巨大な注連縄ですが、毎年新しいものに取り替えられるというのも驚きですね。
国民的アイドルグループが出演したCMでも有名になった「光の道」は、この時期には見ることができませんが、参道を見下ろすスポットには足を運んでみましょう。海まで一直線に伸びる参道は、新年の計がまっすぐに進むような清々しい気分にさせてくれます。
神社内には「奥の宮八社」があり、ひとつずつお参りすれば大願成就するとも言われています。何か願掛けがある人は、ぜひ巡ってみては?
【筥崎宮】
福岡市東区にある筥崎宮は、日本三大八幡宮の一つです。9月に行われる「放生会(ほうじょうや)」でも有名です。
厄除けや勝運の神様としても知られており、地元球団ソフトバンクホークスもよく祈願に訪れています。由来は、蒙古襲来時に神風を起こし、勝利に導いたという逸話によるもの。勝負の年!という人は、ぜひ三社の中に入れたい神社ですね!
特に「湧出石(わきでいし)」には触っておいてください。これは、昔から国に一大事があるとき、地上に姿を現すと言われている石で、触ると運が湧き出ることから、こう呼ばれているのだそう。新年の験担ぎにピッタリですね!
また、1月3日には、締め込み姿の男性たちが木製の玉をめぐって激しい争奪戦を繰り広げる「玉せせり」が行われます。玉に触れると、幸運を授かるそうですよ。
いつもと違う三社詣におすすめの神社
はたらくぞドットコムが注目したのは、福岡市内からも車で1時間程度でいける「志賀海神社(シカウミジンジャ)」「戸明神社(トアケジンジャ)」「三柱神社(ミハシラジンジャ)」の3社です。これから初詣に行く予定の企業店舗のご担当者の皆さん、求職活動をがんばる求職者の皆さん、是非ご参考にされてみてください。
「君が代」の起源であり歴史的由縁の深い福岡県福岡市東区【志賀海神社(しかうみじんじゃ)】
別名「龍の都」「海神の総本社」とも言われる志賀海神社。福岡市東区志賀島にポツンと佇む由緒ある神社です。志賀島と聞くと、船やフェリーでしか行くことができないと思われがちですが、車や公共の交通機関でも行けますのでご安心ください。
この神社の注目すべき点は、日本の国家でもある「君が代」の元となったとされる祝詞(のりと)が神事としてある点と、さらにはこの神社が日本の社文化の起源であるという説がある点です。
四方を海に囲まれた日本では古来より海を崇拝する文化が根づいています。その総本社として静寂ながらも荘厳な貫禄を見せるこの志賀海神社には、まさに昇り龍の勢いを持つ福岡地場大手企業の経営者・役員なども多く参拝しています。近年注目度が上がっており、参拝客も多くなってきているとのこと。まだ三社参りを済ませていない方は是非足を運んでみてはいかがでしょうか?
力士の神様を祀る神社?福岡県北九州市若松区【戸明神社(トアケジンジャ)】
天手力雄大神(アメノタヂカラオ)・天児屋根大神(アメノコヤネ)を主祭神として祀る戸明神社。北九州市若松区蜑住(アマスミ)にあり、なんとこの神社、日本の国技でもある相撲力士の神様を祀る神社とされています。
境内にはその伝説となる天手力雄大神(アメノタヂカラオ)の勇ましい像があります。なかなかの迫力です…!なんでもこの天手力雄大神(アメノタヂカラオ)、神話の中では天照大神がお隠れになった天岩戸をその腕力でもってこじ開けたとされています。その勇猛な姿から、福岡県出身の元力士 魁皇、元大関の琴欧州、大関琴奨菊などがその恩恵を得ようと参拝している写真が掲示されています。
御社の事業をグイグイッと持ち上げてくれるエネルギーを得られるのではないでしょうか、是非足を運んでみてください。駐車場がありますのでお車での参拝がおすすめです。
必勝・就職・再就職のご利益も。福岡県柳川市【三柱神社(ミハシラジンジャ)】
福岡市から車で一時間ほどの場所にある三柱神社。柳川駅よりも至近な場所にあり、柳川名物川下りからもアクセスが良くなっています。古くより、柳川藩初代藩主(立花宗茂公)、岳父(戸次道雪公)、宗茂室(誾千代姫君)の三神を祀っており、多くの方が参拝に訪れています。
元々柳川藩主だった三者を祀ることから三柱神社と名がつけられており、その御神威御神徳は武神軍神、水利・干拓・開田・郷土繁栄の守護神としてご利益があるとされています。近年では御功績を以って必勝・就職・再就職・復活の社として、遠方を問わず多くの方に崇敬されているようです。
元々この三神は武将としても名高くその強さ、ご利益に預かろうと古くより新規事業の立ち上げや商売繁盛の祈願などが行われていたようです。
まとめ
福岡や九州地方独特の風習、三社詣。起源は諸説ありますが、三つの神社にお参りすることは、新しい年の決意表明としてもよさそうですね!
お正月はゆっくり過ごす人が多いと思いますが、UターンやIターンの求人を見るチャンスでもあります。福岡に強いはたらくぞドットコムでは、お正月でも地元の求人情報をお届けしています!