今回は人手不足の業界にスポットを当てた記事です。
深刻な人手不足業界といえば、何が思い浮かぶでしょうか?それは、医療や介護業界です。今回は特に看護師と介護職に注目してみました。まずは、なぜそこまで深刻な人手不足に陥ったのか、その原因を探ってみましょう。
看護師の離職率は、ダントツに高いことはよく知られています。しかも転職も多い業界です。一般職より給与もよく、専門職であるにも関わらず離職率が高いのは、過酷な労働環境にあります。
命の現場というストレスの多い職場に加えて、3K+αがあるというのです。その上人手不足のため、一人にかかる負担が大きくなり、疲れのためにミスをすれば命に関わるという重い責任ものしかかってきます。少しくらい給与がよくても見合わないと思う人は少なくないでしょう。
退職者が多いせいで人が育たず、新人のケアが不十分でまた退職するという、まさに人手不足の悪循環になっているのですね。
この深刻な人手不足の中、労働環境を整えようと努力する病院も増えているといいます。
介護士の人手不足
看護師に負けず劣らず人手不足なのが介護士です。ますます高齢化社会が進む日本で、3年以内に離職する介護士は60%以上というからこの業界の人手不足は深刻です。
介護職も労働環境が過酷なのは想像に難くありません。しかし、介護士の離職原因で上位に上がってくるのは「職場の人間関係」だというのです。
それは、上司や同僚との人間関係だけでなく、利用者との人間関係も含まれています。つまり、利用者のストレスのはけ口にされるケースが多くあるのです。肉体的なキツさなら耐えられても、精神的なストレスはたまらなく辛いですよね。
そこで必要なのは、介護士の精神の保ち方です。介護士同士で感情に振り回されない訓練をし、お互いがお互いを支えるような環境をつくっていくことが望ましいのです。
感情に振り回されないためには、心に余裕がなければいけませんが、介護士の給与は労働の割に低く、その面でもストレスを感じる一端になっているでしょう。
利用者と近く接するので、介護士の心のケアも本当に大切ですね。
また、介護士には夜勤規制もなく、過酷な労働環境の一因になっています。これらの問題を社会として受け止め、改善していかなくてはなりません。
人手不足の対策は?
もちろんこの深刻な状況を国も何とかしようとしています。厚生労働省によると、2025年に向けて最大100万人の介護士を確保するために、引き続き対策を講じるとしています。
その一つは、イメージアップをすることです。夜勤、給与が安い、将来が不安といったネガティブなイメージを払拭し、介護士になりたいと思う人を増やそうというのですね。
そのために、人材の量と質といった両面からアプローチしようとしています。
また、離職の原因の25%は「法人・事業所の理念や運営のあり方に不満があった」というものです。就職した時には希望を抱いて介護士になったのに、実際に働いてみて幻滅したという状況があるようです。必ずしも職場環境を整えるだけではない、理念というところに、医療や介護職に就きたい人との温度差があるのかもしれません。
例えば、アメリカでは消防士はヒーローです。人を助ける尊い仕事という高い評価を受けて、消防士は日々の過酷な訓練や実際の現場で活躍できるのです。
宇宙飛行士の給与も安いといいます。お金を目当てにせず、キツくても給料が安くてもなりたい!と思うことが必要ということでしょう。日本の医療・介護業界も、社会評価がもっと高くなれば少しは変化が起きるかもしれませんね。
まとめ
本当に必要なところに働く人がいないのは、人手不足の悪循環を招きます。求人は十分あっても、離職率が高ければ意味がないですね。日本の医療・介護業界が明るい未来でありますように!