今回は産後復帰について解説していきます。実は、第一子の出産前に離職している女性は約6割。育休制度も充実してきたのに、ここ20年ほど、第一子妊娠後の離職率はあまり変化がありません。
ただし、正社員、パートという、働き方別に見てみると、正社員では育休を利用して就業を継続する人が増えてきています。
これは、育休が長く取りやすくなったことや、大企業では短時間勤務の利用が可能になったことが、離職の大きな理由だと考えられます。
パートであっても労働基準法によって産休・育休は取れるようになっていますが、パートの場合は第一子出産前に離職する率に変化がないのはどうしてでしょうか。
産休と育休の違いは?いつから復帰できる?
ここで1度、産休と育休について整理してみましょう。
産休とは、正式には「産前産後休業」といい、女性しか取得することができません。産前は出産予定日の6週間前から取得できます。双子など多胎の場合には14週間前からの産前休が認められています。しかしながら、産前はあくまでも休業を申請できる期間であり、必ず休まなければならない期間ではありません。
一方で、産後に関しては8週間働いてはならないと労働基準法によって定められていて、特例として医師の許可があれば6週間後から働くこともできます。
つまり、通常であれば、最短で産後8週間後から職場復帰できるという訳です。
さて、育休とは「育児休業」のことですが、産休の後に取得できる休業です。育休は男性も取得することができ、最近では男性の育休もよく話題になっていますが実際に男性の取得率はまだまだ低いようです。
育休の期間は子どもが1歳の誕生日になる前日までとなっています。ただし、待機児童などの理由で2歳まで延長することはできます。また、両親とも育休を取ることができますが、この場合は1歳2ヶ月までの間に、夫と妻がそれぞれ1年を限度としています。
パートでも産休・育休は取れるのに、実際に申請する人が少ないのは、認知度の低さや、申請しにくい雰囲気といった理由があるのかもしれません。
仕事に復帰する前にやっておくべきこと
産後復帰するには、まず何をやっておくべきでしょうか?
まず何をさておいても「子どもの預け先の確保」です。どのタイミングで復帰するかにもよりますが、半数以上が産後1年未満で職場復帰しています。
これは、保育園に預けるのに、0歳が1番入りやすいという理由もあるようです。都市部では待機児童が多い地域も多く、保育園への入園の条件としては、親が働く先が決まっていることがあります。
逆に言えば、完全に離職してしまっていると、入園の優先順位が下がってしまうことになるのです。つまりは、育休中である方が子どもの預け先を確保するのに有利であると言えるでしょう。
また、最長で2年の育休が取れたとしても、まだ小さな子どもは急な熱や体調不良を起こしてしまいます。そんな場合に、保育園に子どもを迎えに行ってくれたり、病児保育ができる小児科を探して登録したりしておくことも必要です。
家庭内で相談して、役割分担ができるように話し合っておくことも大切でしょう。
働き方をどうする?正社員?パート?
産休・育休を取って元の職場へ戻る人が多い中、それでも出産を機に離職する人は多くいます。産後復帰したいと考えた時、正社員で働くか、パートなど非正規雇用にするかは大きな違いですので、家族でもよく話し合って決めましょう。
産後の仕事探しでは、パート・アルバイトで探す人が約8割という、圧倒的な差があるようです。理由としては、先輩ママたちのアドバイスや子どもの成長を見守りやすい、子どもが病気になった時休みを取りやすいということがあります。
実際に正社員よりもパートの方が休みやすいかどうかは、制度の問題ではなく、本人の気持ちの問題かと思われます。やはり、正社員は責任が重いと考えているということでしょうか。
パートを希望する人が多いとはいえ、子育てはやってみなければわからない部分が多く、もし可能であれば、いずれ正社員として働きたいという人も。自分に合った仕事内容はもちろん、時間帯や将来のキャリアプランなども視野に入れて、仕事を探していきましょう。
産後の仕事復帰、どう働く?仕事の探し方
それでは、産後復帰のパターンを3つあげ、それぞれのメリットデメリット、仕事の探し方をご紹介します。
パート・アルバイト
パートやアルバイトで働くメリットは、働ける時間を限定し、短い時間でも仕事ができるということです。また、比較的融通が利きやすく、急な子どもの病気などにも対応しやすいこともあるでしょう。日に日に成長する子どもを、できるだけ長い時間見守りたいなら、残業の心配もなくきっちり時給で働くパートやアルバイトが向いていると言えます。
ただし、子どもの手がかからなくなった時、本格的に働きたいと思っても、なかなか正社員の仕事を探すのが厳しく、時給もそうは上がらないのが現実です。
時間が自由になりやすい代わりに、収入面やキャリアの面では不利になってしまいます。
仕事探しは、インターネットの求人サイトに登録してみましょう。場所や時間だけでなく、労働条件もしっかり確認して探してください。
正社員
キャリアアップしたい、仕事を充実させて自分自身の充実も図りたい、福利厚生がしっかりしていて収入がいい、といった理由で正社員での復帰を望む声もあります。
全体から見ると2割程度ではありますが、いずれ子育ては終わることを考えると、最初から正社員で働いた方が有利という考え方もあるようです。
しかしながら、仕事の拘束時間が長く、保育園のお迎えに間に合わない、突然の子どもの発熱などに対応できないといった問題も孕んでいます。
正社員で働き続けたい場合、産休・育休を取っての復帰であれば問題ありませんが、1度離職してしまっていると、就職活動をしなければなりません。
その際には、子どもの預け先が決まっていた方が有利なのに、保育園に預けるにも仕事が決まっていなければならないというジレンマがあります。
認可保育園に最初から入れない場合は、とりあえず無認可保育園に入れて就職する人もいるようです。いずれにしても、朝から就業時間までの子どもの預け先を確保することは、正社員で働くなら必須です。
在宅ワーク
システムエンジニア、Webデザイン、ライター、翻訳、サイト運営など、インターネット環境とパソコンがあれば在宅でできる仕事も最近は充実しています。
家でできるので、子どもの預け先は不要であり、いつでも好きな時間に仕事をすることも可能です。
ただし、在宅ワークである程度の収入を得るためには、特別なスキルを持っていることが重要で、まったくの初心者だといくら時間をかけても生活費になり得るほどは稼ぐことができません。
元々、エンジニアやデザイナー、ライターなどの事務所に働いていた、もしくはフリーランスであった人は、1番復帰しやすいと言えるでしょう。
しかし、この場合は自営業となるため、保育園へ申し込んでも優先順位が下位になります。待機児童の多い地域では、認可保育園になかなか入れないということがあります。
まとめ
産後復帰の方法は色々ありますが、どう働くかは、今のことだけを見ずに将来のことも見据えて考えていく必要があります。お母さんが働きやすい職場を探すために、はたらくぞドットコムは全力で応援しています。