高齢化社会における医療業界求人状況

現在、日本人の約25%つまり4人に1人が65歳以上となっており、45年後の2060年にはこの割合が約40%に達し、実に2.5人に1人が高齢者となる見込まれています。古今未曾有の超高齢化社会の到来を迎え、日本の産業界でも特に医療業界に対し、高齢者を適切に対応する体制確立の必要性が求められています。しかしながら、深刻な人手不足が顕在化している医療業界で求められる人材と、医療業界の求人状況を考察してみましょう。

専門知識が要求される医療業界

現在の医療業界では人手不足が深刻化しており、大きな社会問題となりつつあります。そして、医療業界への就職を希望する若者も少なくないのですが、高齢者のケアや介護にあたる業務は誰もがすぐにこなせる簡単な仕事ではないところに悩ましい問題点が横たわっています。介護や医療行為に携わる以上、就職して現場で仕事をする時点では「未熟だから」という言訳は通用しません。したがって、医療関連の業界に就職するには、専門的な職業訓練を受け公的資格を取得しておく必要があるのです。

現場に行かない50万人の有資格者

特に慢性的な人出不足となっている福祉・介護業界では、年々増加し続ける高齢者をケア・サポートする若い力を求めています。必要な研修を終え、公的資格を取得し使命感に燃えて現場につく若者は少なくないのですが、他の業界に比べて若い世代の離職率が高いのが残念な現状です。特に、看護師においては日本全国では数万人規模で人手が足りない状況で、せっかく看護師の資格を取得しながら看護の仕事に就いていない有資格者が、なんと50万人もいるといわれています。

ようやく始まったサポート体制づくり

なんといっても、現場にいない50万人の看護師のわずか10分の1の就職・復職が叶えば、被介護者に対する万全のケア・システムが構築可能となるのです。そこで、福祉・介護業界に就職しない、あるいは就職してもすぐに離職するという現状を改善するため、業界ではさまざまな取り組みが試みられています。また、国や地方の公的機関も、少しでも多くの有資格者が福祉・介護の現場で長く働くことができるような環境づくりをサポートする体制づくりが始まっています。

マイナス面をプラスに転換

看護師や介護福祉士などの国家資格取得を目指す人は、その大半が社会貢献できる仕事を望んでいることと思います。その高邁な志と就職後の現実とのギャップの大きさが離職という選択となってあらわれるのではないでしょうか。彼らを受け入れる施設の方も、若者の清い精神力に頼りすぎてハードな仕事を強いてしまっている傾向があると思われます。現在ではこのようなマイナス面をプラスに転換する待遇改善を進めている企業も増えてきています。就職活動の際には、その進行度合いを入念にチェックする必要があるでしょう。