「退職代行サービス」をご存知ですか?2018年頃からよく耳にするようになったサービスで、退職をしたいけれどさまざまな問題があって退職を言い出せない、聞いてもらえないという人に知られるようになりました。最近では退職をめぐる労働者と会社側のトラブルも多く見られます。
今回は、退職代行サービスとは何か、メリット・デメリットや利用の仕方を解説していきます。退職できないで困っている人にはとても便利なサービスですが、注意事項もありますのでよく理解した上でサービスを利用するか検討してくださいね。

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退職代行サービスとは?

労働期間に定めのない、いわゆる正社員として働く労働者の場合、退職することは自由とされています。いつでも会社に対して退職の意思を伝え、辞めることができます。ただし、一般的には就業規則などで「退職する際は退職予定日の○日前までに申し出ること」と定められているので、勤務している会社の退職手続きを調べてみましょう。

さて「退職代行サービス」とは、労働者が退職したいとき、労働者の代わりに退職の意思を伝えてくれるサービスです。例えば、精神的に追い詰められていて上司に自分で退職の意思を伝えられない、退職したいのに話を聞いてもらえないなど、自分で退職意思を伝えられない場合によく利用されています。
ただし、退職に伴う諸々の手続きや交渉は法律事務にあたるため、弁護士ではない業者が行うことは「弁護士法」に抵触する可能性もあります。弁護士ではない退職代行業者が、退職日を調整したり、退職金の交渉をしたりするのは違法となることがあるので注意しましょう。

退職代行サービスを利用するメリット

退職代行サービスを使うと、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

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自分で退職を言い出さなくていい

悪質な引き止めをされている、上司に脅しめいたことを言われ、怖くて退職の交渉ができないといった場合、退職代行サービスを使うことで直接会社とやりとりする必要がなくなります。
精神的に会社へ行くことが苦痛でも、自分が足を運ぶことなく退職の意思を伝えてくれます。

退職までが早い

なかなか退職を言い出せなかったり、退職の意思を伝えたいのに聞いてもらえなかったりする際には、退職代行サービスを利用するとすぐに退職の意思を伝えてもらえます。ただし、一般的に依頼して費用の支払いが終わった後の意思伝達になります。

退職代行サービスを利用するデメリット

退職で悩んでいる人には画期的なサービスですが、デメリットもありますのでよく理解しておきましょう。

費用がかかる

当然ではありますが、退職代行サービスの利用にはお金がかかります。一般的な料金は3〜5万円ですが、サービスの内容は業者によってさまざまなので、依頼する前によく確認してください。
通常退職にはお金がかからないことを思えば、少なくはない出費となりますね。

退職癖がつきやすい

退職を上司に伝えたり、退職願を渡すタイミングを考えたりすることはストレスがかかります。しかし退職代行サービスを利用すれば、ほとんどストレスなく退職できてしまうため、次の職場に行っても簡単に「辞めようかな」と考えてしまう可能性が。
退職代行サービスは、困っている人には大変助かりますが、退職癖がついてしまう危険性をはらんでいることを忘れてはなりません。

悪質な業者にひっかかるリスク

残念ながら、退職代行サービス業者の中には悪質な業者がいる可能性もあります。結局、退職できなかったような場合でも返金してもらえなかったというケースや、弁護士資格がないのに法律事務の手続きを行うといったケースが実際に見受けられます。
特に違法にあたるとされた場合、大きなトラブルになることもあるので注意してください。

退職代行サービス利用の注意点

悪質な業者もいると書きましたが、退職代行サービスの場合は弁護士法に抵触してしまう可能性があります。基本的に退職代行サービスとは「退職の意思を伝える」だけのサービスとして捉え、以下のことに注意して利用しましょう。

違法とされたらどうなる?

弁護士法に抵触した場合は、業者に対して2年以下の懲役または300万円以下の罰金刑という重い罰則があります。利用しただけの労働者も、もし業者が逮捕されるようなことがあれば刑事事件に巻き込まれ、警察から聞き取り調査などをされる可能性があります。値段が安いなどだけで退職代行サービス業者を判断しないようにしましょう。
さらに、違法行為にあたる業者を利用した場合は、逆に会社から訴訟を起こされることも。裁判になると、裁判費用や賠償金などの負担も発生し、大きな金額となってしまいます。安易に退職代行サービス業者を選ぶと、思いも寄らないトラブルに発展しかねないので、十分注意してください。

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退職代行サービス業者を選ぶポイント

違法にならない退職代行サービス業者選びは、以下のポイントを抑えてください。

  • 顧問弁護士がついているか確認する
  • 基本的な業務の内容は本人に代わって退職の意思を伝えるだけ
  • その他の条件交渉(退職日の調整、退職金の交渉など)は行わない、請け負わない

ただし、顧問弁護士がついている業者であっても、代行業者が退職の条件交渉を行うのは違法にあたると考えられています。業務内容についても慎重に見極めましょう。

退職代行サービス利用の流れ

ここでは、一般的な退職代行サービスを利用する際の流れを紹介します。

退職代行サービスをインターネットなどで探し、相談をする

担当者と打合せをする

費用を振り込む

退職代行サービス業者が会社へ退職の意思を伝達

いずれにしても、退職代行サービスに頼めるのは「退職の意思を伝える」までですから、その先の交渉や手続きをお願いしたい場合には弁護士に相談するのがベストです。
「どうしても退職を言い出せない」「退職したいと伝えても拒否され、それ以上強く言うことができない」という人は、退職代行サービスを利用するのに向いていると言えるでしょう。

退職について知っておいて欲しいこと

ここまで退職代行サービスについて解説してきましたが、今一度「退職」について詳しく説明しておきます。雇用形態によって多少違いがありますので、しっかり把握しておきましょう。

正社員の場合

退職(辞職)は、憲法によって基本的に自由です。退職の特別な理由も必要ありません。しかし民法627条で「原則として退職する2週間前に辞職の予告をする」となっています。つまり労働者側からはいつでも辞める予告ができ、その2週間後には雇用契約を終了できるということです。
ただし民法627条2項では、月給制の場合は「月の前半に意思表示をしなければならず、月の後半に意思表示をした場合は、翌々月に契約終了の効果が生じる」となっています。

有期労働契約の場合

期限の決まっている労働契約(契約社員など)で、契約期間内に退職するには「やむを得ない事由」が必要になります。この「やむを得ない事由」とは、会社が賃金を支払ってくれない、劣悪な職場環境で危険を感じる、違法な行為を強要されるなど。
しかし有期労働契約であっても、契約の初日から1年経過していれば、いつでも「やむを得ない事由」なしに退職できます。ただし厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識を有する労働者及び60歳以上の労働者には適用されないので注意してください。

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まとめ

退職代行サービスについて解説してきましたが、どうしても退職を伝えられない際には業者の利用を考えてみましょう。くれぐれも法に抵触することのないよう、退職代行業者選びは慎重に行ってくださいね。