「企業の顔」として応募者に面接をする面接官。どのような役割にでも“初めて”の時はありますが、面接官が応募者を幻滅させてしまうような言動をとることは避けたいもの。
「初心者だから」「初めてだから」と甘えるのではなく、最初だからこそきちんと面接官の役割やマナーなどを学んでいきましょう。具体的な面接の流れと、良いポイント・悪いポイントも紹介しますので、これから初めての面接官をする方や面接官を目指したい方は参考にしてみてくださいね。

面接官の役割とは?

まずは面接官がどのような役割を担っているのか見ていきましょう。

【面接官の役割①】応募者の人物像を引き出して見極める

面接の前には履歴書や職務経歴書、またはエントリーシートで応募書類を見ています。しかし、それだけでは応募者の人物像がつかめないから面接をして判断するのです。
ただし面接官が応募者の人となりを引き出せなければ、その人の本当の魅力はわかりません。面接官には、面接という限られた時間で、応募者のコミュニケーション能力やスキル、会社にマッチした人材かといったことを見極める役割があります。

【面接官の役割②】魅力的な人材を入社へ結びつける

面接官が応募者の人物像を見極められたとしても、その人材が本当に入社してくれるかはまた別の問題です。自社にマッチする人物だと見極めたなら「その人に入社してもらうにはどうしたらいいか」を考えなければなりません。
また入社後のトラブルや早期退職を防ぐためにも、仕事内容や会社の理念、待遇などをきちんと説明し応募者に「入社したい」と思ってもらう必要があります。

【面接官の役割③】会社の代表としてのスポークスマン

面接は「応募者からも選ばれている場」であることを認識しておきましょう。つい面接する側ばかりが選んでいる錯覚に陥りがちですが、応募者も「どんな会社か」「どんな人が働いているのか」「どんな仕事をするのか」という目で、しっかりこちらを観察しています。
面接官は応募者にとっては会社の顔。会社の代表として見られていることを忘れずに、どのような応募者にも態度を変えず気持ち良く接することを心がけましょう。実際に、面接官で入社を決めたという応募者は数多くいますよ!

面接の流れ

一般的な面接の流れを紹介します。時間配分を考えながら、質問事項などしっかりシミュレーションしてから臨みましょう。

1.アイスブレイク/5分程度
アイスブレイクとは、軽い会話で緊張をほぐすための雑談です。その日の天気や気温、交通手段など、相手が気軽に答えられる会話から入ってみてください。

2.面接官の自己紹介と自社の説明/10〜15分程度
軽く緊張がほぐれたら、こちらから自己紹介と自社の説明をするのがおすすめです。いきなり相手への質問へ入る面接も多いですが、まずはこちらから自分のこと、会社の概要や理念、募集の背景、お任せしたい業務内容などを説明する時間にしましょう。

3.応募書類による質問/20分程度
面接のメインイベントとも言える、応募者への質問コーナーです。履歴書や職務経歴書などを見ながら、その人の人物像を見極めるための質問をしましょう。
ただし、質問攻めにするのではなく、会話の中でヒアリングするように促します。相手の話しやすさを意識すると、人物像を判断しやすくなるでしょう。

4.質疑応答/10〜15分程度
面接官からの質問が終わったら、応募者に何か質問はないかたずねます。応募者からの質問の中に、自社へ対する意欲や仕事への価値観が隠れていたりするものです。
また心配に思っていることがある場合は、きちんと回答して不安を解消してあげましょう。

5.連絡事項の確認
面接の最後は、合否の連絡方法や予定日数などを確認します。他に伝達事項があれば、忘れずに伝えてください。

面接官のマナー(身だしなみ)

基本的に面接官はスーツです。しかしながら、普段オフィスカジュアルで仕事をしている企業などは、会社の雰囲気を伝えるために、あえてかっちりした服装にせず、オフィスカジュアルで面接に臨むことも。

ドレスコードについては、社内でよく話し合ってテイストを決めておきましょう。
どのようなドレスコードになったとしても、気をつけて欲しいのは清潔感。どのような服装であっても清潔できちんと感を出し、ヘアスタイルやヒゲ、爪、靴やベルト、腕時計などの小物にも気を使ってくださいね。

応募者に入社したいと思わせるポイント

応募者に「この会社で働きたい」と思わせる、面接でのポイントは何でしょうか。4つのポイントを紹介します。

ポイント①話を聞く態度

面接官は応募者に質問をする立場です。相手は緊張し、熱意を持って応えているので、こちらも興味を持って話を聞きましょう。「話を聞いてくれた」というのは、相手にとってかなり好印象になります。

ポイント②大きな声ではっきりと話す

応募者にとっては当たり前のことですが、面接官も相手に聞こえるように、大きな声ではっきり話すことを心がけましょう。聞き取れなくても応募者は聞き返しにくく、また面接官は自信がなさそうに見えてしまいます。
自社の説明や相手への質問をしても、説得力がなく好感度も上がりません。

ポイント③質問に対する丁寧な対応

面接の最後に、応募者からの質問を受けたりします。応募者の質問内容で熱意や本気度がわかりますから、面接ではかなり大切な局面。質問に対しては、丁寧にわかりやすく説明しましょう。
アサイン、プライオリティ、コンプライアンス…など、ビジネス用語はスマートな印象を与えるかもしれませんが、できるだけ平易な言葉で誰にでもわかるように伝えることが大切です。

ポイント④仕事へのイメージがわく説明

応募者が1番不安に思っているのは、入社後どのような仕事をするのかということです。事前に社内の募集職種に該当する人に具体的な話を聞いておき、応募者が入社後のイメージがしやすい説明をしましょう。
これによって入社後のミスマッチを防ぐこともできます。

応募者を不快にさせてしまうNGポイント

面接官が応募者を不快にさせてしまうパターンもよくあります。内定を出しても入社してもらえないことに繋がりかねないため、注意しましょう。

法に抵触?NGな質問

下手をすると憲法違反になってしまう質問に、宗教・政治に関することがあります。これらの思想に関する答えを強要すると法に抵触する場合もあるので注意が必要です。

さらに、本人に責任のないことについても質問はNGです。以下のような話題は避けてください。

  • 本籍・出生地
  • 家族について(職業・地位・学歴・収入・資産など)
  • 住宅の状況(住宅の種類・部屋数・間取りなど)

プライベートすぎる質問

個人的な質問も避けるべきです。共通の話題を見つけようとして好きな野球チームなどを聞くというのは有りと思いがちですが、宗教や政治と同様にスポーツの話題には個人の思想が出やすく、対立が起こりかねないので避けた方がいいでしょう。

他にハラスメントになりかねないため、避けた方がいい内容は以下の通りです。

  • 家庭環境や生活環境
  • 恋愛や恋人の有無
  • 性別
  • 年齢や容姿について

態度が悪い

面接官にそのようなつもりがなくても、応募者が圧力を感じたり、不快な質問をされたと思ったりすることがあるのが面接という特殊な場です。

面接官がパソコン場面ばかり見ていて話を聞く態度が悪かった、応募者からの質問の余地がなかったなど、応募者が面接官の態度に不快感を抱くことは多いのです。
最近では企業の口コミサイトも多く、SNSなどへの配慮も必要。応募者からもジャッジされていることを忘れずに、誠意を持って接しましょう。

まとめ

初めて面接官をする時は、しっかり準備をして応募者に好印象を持ってもらえるよう努めましょう。面接官は人を見極めるスキルと同時に、自分の好感度を上げることも大切です。以上のことを踏まえて面接官も模擬面接など身近な方に手伝ってもらうのも良いでしょう。
会社にとっても、応募者にとってもよい出会いとなるよう、面接官の大役を果たしてくださいね!