求人票を書くとき、自社が求める人物像を想定し、応募が来るように工夫しますよね?実は、意図せず記載してはいけない内容を書いてしまう企業も多いのです。
求人票の記載表現には、法律により厳密にルールが決められており、知らなければついつい書いてしまいがち。
抵触してしまう法律は以下のものです。

  • 労働基準法
  • 男女雇用機会均等法
  • 最低賃金法
  • 雇用対策法
  • 職業安定法

では、どのような表記がNG表現となってしまうのか、また正しい表記はどうしたらいいのかを解説していきます。

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年齢制限の記載について

企業側として求めたい条件のひとつが年齢でしょう。しかし、法律では求人で年齢を制限することを原則的に禁止しています。例外となる場合も併せて見ていきましょう。

原則、年齢制限は禁止

「20代のフレッシュな人に来てほしい」「30代の即戦力がほしい」など、求人するにあたって具体的な年齢を想定している場合は多いでしょう。しかしながら、求人票に年齢を制限するのは原則禁止となっています。
また、求人票には「年齢不問」と記載してあるのに、年齢を理由に応募を断ったり、書類選考や面接で合否を決定したりすることも、法律違反になります。
年齢禁止の目的は、個人の能力や適性を判断して、より均等な働く機会を与えるため。年齢ではなく、応募者本人の特性を見極めて欲しいということですね。

【NG表現の例とOK表記の例】

  • ×18歳〜29歳まで→○年齢不問
  • ×20歳以上→○年齢不問
  • ×30代歓迎→○30代活躍中
  • ×40代以上の方が活躍できる職場→○40代以上のスタッフが多数在籍

例外的に年齢に制限をかけられる場合は?

年齢制限が例外として認められる場合もあります。年齢の「上限(65歳未満に限る)」を設ける場合には、その理由を書面やWEBサイトなどで提示しなければなりません。

【年齢制限が認められる例】

①定年年齢を上限として、その上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

②労働基準法その他の法令の規定により年齢制限が設けられている場合

③長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

④技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

⑤芸術・芸能の分野における表現の真実性などの養成がある場合

⑥60歳以上の高年齢者、就職氷河期世代の不安定就労者・無業者または特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の施策を活用しようとする場合に限る)の対象となる者に限定して募集・採用する場合

引用:厚生労働省「年齢制限禁止パンフレット」

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性別の記載について

男女の区別をして募集することも原則的に禁じられています。こちらも例外的に認められる場合があるので、併せて解説します。

原則的に、性別の記載は禁止

男女雇用機会均等法により、求人票に性別を表記することは禁止されています。性別に関わらず、雇用の均等なチャンスを与え、性別による差別をなくすことを目的としています。
また、労働者の身長や体重、体力を要件とすることや、転居を伴う転勤に応じられることを要件とすることも、間接的な性差別に当たります。

【NG表現の例とOK表記の例】

  • ×男性歓迎→○男性活躍中
  • ×女性歓迎→○女性スタッフ多数在籍
  • ×主婦歓迎→○主婦(夫)歓迎
  • ×ウェイター/ウェイトレス→○ホールスタッフ
  • ×カメラマン→○カメラマン(男女)/撮影スタッフ
  • ×営業マン→○営業員/営業スタッフ

性別を記載してもよい事例

業務の遂行上、性別を特定しなければならない職務の場合には法律違反とはならない場合があります。
以下の場合は、性別によって異なる取扱いをしてもOKとなっています。

(1)次に掲げる職務に従事する労働者に係る場合
① 芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請から男女のいずれかのみに従事させることが必要である職務
② 守衛、警備員等のうち防犯上の要請から男性に従事させることが必要である職務
③ ①及び②に掲げるもののほか、宗教上、風紀上、スポーツにおける競技の性質上、その他の業務の性質上、男女の
いずれかのみに従事させることについて①、②と同程度の必要性があると認められる職務
(業務の正常な遂行上、一方の性でなければならない職務に限られます。単に、一方の性に適していると考えられて
いるだけでは該当しません。)
(2)労働基準法第 61 条第1項(深夜業)、第 64 条の2(坑内業務の就業制限)もしくは第 64 条の3第2項(危険有
害業務の就業制限)の規定により女性を就業させることができず、または保健師助産師看護師法第3条の規定(助産
師は女子をいう)により男性を就業させることができないことから、通常の業務を遂行するために、労働者の性別に
かかわりなく均等な機会を与えまたは均等な取扱いをすることが困難であると認められる場合
(3)風俗、風習等の相違により男女のいずれかが能力を発揮し難い海外での勤務が必要な場合、その他特別の事情によ
り労働者の性別にかかわりなく均等な機会を与え、または均等な取扱いをすることが困難であると認められる場合

引用:厚生労働省「男女均等な採用選考ルール」

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人権侵害や就職差別につながる表現

求人票で人権侵害や就職差別に当たるとされるのは、人種や国籍、出身地や居住地、心身的な条件や性格、家庭環境などです。求める人物像を企業側の主観的なイメージで限定したりすると、表記や表現によっては差別を助長すると受け取られる可能性もあります。表記には細心の注意を払いましょう。

【NG表現の例とOK表記の例】

  • ×国籍不問/日本国籍の方歓迎→国家・国籍・人種については一切記載不可
  • ×明るい方→○明るくお客さまにあいさつできる方(仕事への取り組み方、誰でも一時的に可能な表記はOK)
  • ×体力に自信のある方→○1つ5kgの荷物を運ぶ仕事です(具体的な重さや形状を記載し、求職者に判断させる表記はOK)
  • ×ブラインドタッチできる方→○タッチタイピングできる方
  • ×中央区在住の方募集→○地元の方歓迎
  • ×1時間以内で通勤可能な方→○土地勘のある方歓迎
  • ×小学生でさえ持てる荷物だから大丈夫→○約5kgの荷物を運んでいただきます
  • ×普通にパソコンで入力できるレベル→○パソコンで文字、テンキー入力できるレベル
  • ×基本的にどなたでもできる簡単な作業→○商品をカゴに入れていく簡単な作業
  • ×子育て経験のある方→○既婚者歓迎

誇大表現・虚偽の労働条件

職業安定法により、求人票には最低限明示しなければならない労働条件等があります。しかし、同時に虚偽または誇大な内容としてはならないともしており、企業は遵守しなければなりません。
例えば、
●求人票に「基本給25万円、残業代支給、年間休日110日以上」と書かれてあるのに、実際は給与の中にみなし残業が40時間含まれていて、休日出勤当たり前で100日以上もらっている人はいない

●求人票に「社員同士が仲良く笑顔のあふれる職場です」とあったのに、実際はみんなイライラしていて雰囲気が悪い

など、応募してもらいたいための誇大表現や虚偽の労働条件は、職業安定法に抵触する可能性があります。
厚生労働省でも、ハローワークでの求人票の記載内容と実際の労働条件の相違を調査し、指導を行っています。求人票の表記には十分注意して、偽りのない内容にしましょう。

参考:厚生労働省「平成28年度のハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出等の件数を公表します」

まとめ

求人票は、応募者との接点であり、つい熱が入ってNGな表現を使っていることも多々あります。しかし、禁止されている内容を知っていれば、注意して表現することができるので、記事を参考にして適切な表現を目指してくださいね!

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