フリーターや契約社員など、有期労働契約(非正規雇用)は自分のライフスタイルに合った仕事や時間帯を選べるメリットがあります。しかしながら、非正規雇用者の6割が、雇用の安定している「正社員で働きたい」と希望しているのが現状です。
今回は、正社員のメリット・デメリットや正社員になりたい理由やなれない理由を解説します。さらに正社員に採用されやすい求人の特徴や、正社員を目指すきっかけになった体験談も紹介するので、正社員への道を諦めず方法を探していきましょう!
参照元:総務省「労働力調査(基本集計)」
正社員のメリット・デメリット
正社員のメリット・デメリットはどのようなものがあるでしょうか。非正規雇用との違いも意識しながら見ていきましょう。
【正社員のメリット】
- 雇用が安定しており、失業しにくい
- 収入がアップし、生涯賃金が高くなる
- 福利厚生が充実している
- 社会的な信用度が高い
- 教育研修制度がありスキルアップできる
- 年金支給額が多くなる
正社員の最大のメリットは、安定した雇用と収入です。同じ労働時間だとしたら、生涯にトータルで受け取れる金額が大きく変わってきます。
ローンやクレジットカード、部屋を借りるなど、審査を受けなければならない場面で、正社員は社会的な信用度も高くなります。
【正社員のデメリット】
- 異動や転勤の可能性がある
- 残業や休日出勤をしなければならないこともある
- 責任が生じる
- 好きな時間帯で働けない
正社員になっても、希望した仕事ができるとは限りません。異動や転勤などもよくあることです。基本的に就労時間が決まっているので、好きな時間帯だけ働くこともできません。この部分は大きな違いですね。
正社員になりたい理由・なれない理由
非正規雇用者が正社員になりたい理由と、なぜなれないのかを調査を参考に探っていきます。正社員になれない理由の中には、思い込みによるものもあるので、正社員を目指すヒントにもなりますよ!
正社員になりたい理由
非正規雇用者のうち、正社員になりたいと思っている人3,000人を対象に行われた調査から、正社員になりたい理由は以下のようになっています。
- 1位:雇用が安定していて将来が安心
- 2位:給与をアップさせたい
- 3位:福利厚生が充実している
- 4位:非正規雇用は世間的に不利だから
- 5位:労働条件や職場環境を改善したい
- 6位:キャリアを高めたい
- 7位:自分の意欲やスキルを活かしたい
- 8位:新しいスキルを得たい
- 9位:専門的な資格や技能を活かしたい
- 10位:責任ある仕事をしたい
- 11位:家事・育児・介護等の制約がなくなった
参照元:ディップ総合研究所
世の中の動向により、将来を不安に感じていて、安定を求める傾向にあります。福利厚生が上位に来ているのは、一緒に働いていて正社員との間に差を感じるからだと予想できます。
さらに、結婚や出産などで一旦正規雇用を離れた主婦層が、再び正社員として働きたいという割合も高いようです。
正社員になれない理由
多くの人が正社員で働くことを望んでいるのに、なぜ正社員になれないのでしょうか?アンケート調査による理由は以下の通りです。
- 1位:年齢が壁になって採用されなさそう
- 2位:転職活動をしたが採用されなかった
- 3位:妊娠・育児・介護・病気などで今すぐは望んでいない
- 4位:正社員になって自分にできるか自信がない
- 5位:新しい職場になじめるか心配
- 6位:転職活動をする金銭的・時間的な余裕がない
- 7位:転職活動をしたが希望の仕事が見つからない
- 8位:非正規で働いている職場に正社員になるのを断られた
- 9位:転職活動をしたが求人の内容と違いがあって辞退した
- 10位:転職活動をしたがスキルなど応募資格を満たせなかった
参照元:ディップ総合研究所
回答者に、「正規雇用への転職活動を行ったことがありますか?」という質問をしたところ、「ある 37.6%」「ない 62.4%」という結果でした。実際に転職活動を行わずに、「正社員になれない」と思っている人が半数以上いるということですね。
特に中高年以上では、年齢やライフサイクルの問題で正社員での転職は無理と思っている傾向にあります。
この結果をヒントに、正社員に採用されやすい求人の特徴を見ていきましょう。
正社員に採用されやすい求人の特徴
正社員になりたいのに、チャレンジしていない人は、求人の見方を変えると挑戦してみようと思えるでしょう。正社員に採用されやすい求人の特徴を紹介します。
未経験歓迎
求人表に「未経験歓迎」と掲載されている求人は、その仕事の経験やスキルがなくても応募できるという意味です。ずっと非正規雇用で働いている人や、社会人経験がないという人も応募できます。
また、「異業種からの転職歓迎」という求人も、未経験歓迎とほぼ同じ意味合いなので、検索するときはキーワードに入れましょう。
ただし、応募する際には、仕事内容や給与、労働時間など、自分の条件と合うかどうかもしっかり確認するようにしてくださいね。
試用期間がある
試用期間とは、企業が選考を経て採用決定した新規採用者を、自社の業務にマッチするかどうか最終的に判断するためのもの。一定期間を設け、業務を行いながら適正やスキルなどを見ています。
試用期間は給与が通常より低い場合が多いことや、試用期間終了後、企業側は本採用しない選択もできることには注意が必要です。
正社員登用制度あり
この求人は、非正規で一定期間働き、実績を残せば正社員に登用するという制度です。ですから、採用されてもまずは非正規で働くことになります。
労働契約法では「契約社員で5年経過すれば、無期雇用(正社員)に転換しなければならない」と定められているため、採用されればいずれ正社員になれる可能性は高め。
ただし、契約社員の契約期間に上限が設けられている場合は、3〜5年の雇用期間内に正社員になれないと契約終了となることもあります。
正社員を目指すには、どのような実績を積めばいいのか、評価基準などを確認しておくといいでしょう。
小規模企業やベンチャー企業
小規模企業やベンチャー企業は、企業として新しい仕事に挑戦しています。「新しいことにチャレンジしてみたい」「仕事にやりがいを感じたい」という熱意を持った人材は、これらの企業にとって欲しい人物なのです。
社会人経験がない、ブランクがあるなど、スキルや経歴に不足があると思っていても、「やる気なら誰にも負けない!」という人は応募してみてはいかがでしょうか。
興味のある仕事内容であれば、求人をチェックしておきましょう。
正社員を目指した体験談
今回の記事を公開するにあたり、求人サイト「はたらくぞドットコム」運営メンバーのさまざまなエピソードをご紹介。
■女性/転職回数:3回(当時30歳)
新聞社で記者として働いていましたが、労働時間の長さに我慢ができず3年弱で退職しました。その後、5年ほどアルバイトや派遣社員として働きました。
接客業が中心で記者経験が生かせたわけでもなく、正直だれにでもできる仕事だったと思います。
30歳になり、このままではいけないと一念発起。
少しだけ経理をかじったことがあったので、税理士資格を取ろうと資格学校に通い始めました。
税理士は専門性の高い仕事なので、資格学校では定期的に税理士事務所を集めた合同説明会が行われます。1年勉強し、初めて受けた試験は不合格でしたが、合同説明会で話を聞いた税理士事務所に採用してもらうことができました。
経験もない、試験にも合格していないのに、すんなり就職が決まりびっくりしましたが、いざ税理士事務所に入ってみると勉強しながら働いている人がほとんどでした。
資格を取ると基本的には独立するので、社員として働いている人は資格取得前の人が多いのです。
また、実務を勉強しながら仕事ができるので、税理士を目指す人にとっては最高の環境です。
資格学校に入る時はもちろんそれなりのお金がかかりましたが、就職できたことで入ってよかったなと思いました。ほかにも資格取得学校→就職の流れがスムーズな業界もあるのだろうと思います。
そういう視点で職業を考えるのもアリなのではないでしょうか。
結局、税理士にはなれなかったのですが、いまは経理の仕事をしています。
勉強した知識を生かせているので、これまでの経験が無駄ではなかったなと思います。
■男性/転職回数:はじめて(当時24歳)
大学を卒業後、目標や目的などを持たずアルバイトを転々とする生活を
約2年ほどしていましたが、収入面での生活の厳しさや将来への不安から
正社員での就業を目指すようになりました。
コールセンターで主にアルバイトをしていたので、電話対応を中心とした
顧客サポートの求人であれば自分のスキルや経験で正社員未経験と言う
ハンデをカバーできるのではないかと考え、スキルに沿った就職活動を行い、
結果内定を獲得することができました。
■女性/転職回数:3回(当時29歳)
フリーランスでサイト制作を中心に案件を請け負っていましたが
制作費・納期の交渉やスケジュール管理など1人で行うのは大変でした。
進行上割に合わない案件を引き受けて結果的に労働時間が長くなることもあり
会社勤めれば業務をチームで分担でき、制作に集中できることを改めて実感しました。
また確定申告なども自分で行わなければない等業務以外の部分や保険、福利厚生なども含めて
改めて正社員になろうと転職を決めました。
フリーランスで積んだ経験と共に自分にできないことを知るきっかけにもなり
納得して正社員の道を選ぶことができたと思います。
まとめ
年齢や性別、経歴などで正社員になることを諦めることはありません。正社員として採用されるまで、時には長くかかることもありますが、はたらくぞドットコムはずっと応援し続けます!