SDGsという言葉を、テレビなどでもよく耳にするようになりましたね。昨今では、学校教育でも扱うことが求められており、小学生でもSDGsを意識していることがあるようです。
SDGsは、企業に関わりを求めている側面もあるため、大手などはすでに広告や自社サイトなどでも広く取り組みをアピールしています。
今回は、SDGsへの取り組みをまだ開始していない企業へ、SDGsとは何か、取り組むメリットや始め方を解説していきます。
また、すでに取り組んでいる企業でも、SDGsのアピールが大切なことを説明しますので、参考にしてみてくださいね。
SDGsとは?
SDGsとは「エス・ディー・ジーズ」と発音し、日本語にすると「持続可能な開発目標」という意味があります。「Sustainable Development Goals」の略称であり、前身は「MDGs」でした。
SDGsは、2015年9月の国連サミットにおいて全会一致で採択された国際目標です。「誰1人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のために、17の国際目標と169のターゲット、232の指標が決められているものです。
2000年に国連サミットで採択されたミレニアム開発目標「MDGs(エムディージーズ)」が、2015年に達成期限を迎えたために、新たな世界の目標として定められました。
MDGsのゴールは8つありましたが、主に先進国が発展途上国の支援を行う内容でした。途上国からは、先進国が決めている目標であるとの指摘もあり、2015年に新たに採択されたSDGsには「誰1人取り残さないこと」を盛り込んで、先進国と途上国が一緒に達成すべき目標で構成されるようになったのです。
ちなみに、SDGsの目標期限は2030年。あまり広く知られることがなかったMDGsに比べて、日本では多くの企業が取り組むことにより徐々に広がりを見せています。
SDGsの17の目標とは?
では、SDGsの「持続可能な開発目標」で掲げられている17の目標を見ていきましょう。
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなに そしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任 つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 平和と公正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
貧困、飢餓、健康と福祉、教育、水やトイレなどといった問題は、日本では普通に享受できるものであり、「あって当たり前」の印象が強いですね。しかしながら、世界的に見るとこれらが当たり前でない国がたくさんあるということです。
働きがいや経済成長、まちづくり、気候変動、環境問題、平和など、現在の世界が抱える課題を包括的に掲げていることもわかります。
前述した通り、さらにこの下に169のターゲットがあります。例えば、目標1の「貧困をなくそう」に付随するターゲットには「2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる」など、より細かく具体的なターゲットが5〜10個ずつ設定されているのです。
すべてを網羅して把握するのはとても大変ですが、SDGsはいつでもすぐに取り組むことができるので、紹介していきます。
SDGsに取り組むメリット
MDGsからSDGsへバトンが渡され、今日本は政府や自治体だけではなく、民間企業もSDGsに取り組むことを求められています。環境課題や社会貢献なくして、企業は成長できないとまで言われるSDGsに取り組むメリットとは何でしょうか?
ESG評価を上げ、資金調達が得やすくなる
ESGとは、環境「Environment」、社会「Social」、ガバナンス「Governance」の頭文字を取った言葉で、ESG評価が高くなると、優良企業というイメージに繋がります。
なぜなら、ESGに配慮することで、持続的な金融市場と優れた投資効果を得ることを目指すことに繋がっているからです。
実際に2016年には世界の投資額の26.3%(約22.8兆ドル)がESG投資を占めており、2018年にはESG市場の規模が約31兆ドルになり、活発化。
企業としては、SDGsに取り組むことでESG評価を上げることとなり、投資家からの資金調達が得やすくなるのです。
企業のブランディング
SDGsの17の目標は、世界的に取り組む必要のある内容。これに積極的に取り組む企業は、社会貢献度の高い会社として評価され、企業イメージを向上させることができるでしょう。
企業はそれまでのCSR(企業の社会的責任)活動を行ってきましたが、CSR活動は植樹など、企業の本業とは関係のないものが多く、余裕のある企業しかできないデメリットがありました。
しかしながら、SDGsはさまざまな分野に対して目標があるため、本業に関連した活動をしながら社会貢献していることをアピールできます。費用的な負担もなく、企業のブランディングが可能です。
優秀な人材の採用
SDGsへの取り組みが、なぜ優秀な人材の採用と関係があるのかと不思議に思うかもしれません。
ディスコによる「就活生の企業選びとSDGsに関する調査」を見てみると、2019年から2021年までの3年連続で、「就職先企業に決めた理由」のトップは「社会貢献度が高い」でした。
では、学生が企業の何を見て社会貢献度を判断しているかというと、企業理念、ビジネスモデル、従業員の待遇、顧客・消費者に対する姿勢についで、SDGsなどへの取り組みとなっています。
学生のSDGs認知度はとても高く、「詳しく知っている」「ある程度知っている」は全体の76.4%にものぼります。さらには企業を選ぶ基準として70%以上の学生が、企業の社会貢献度は影響があったとしています。
これは、企業がSDGsに取り組むことで就活生に選ばれる企業となり、優秀な人材の確保に繋がる可能性があるということです。
SDGsの始め方
SDGsに取り組むのはとても簡単です。企業として取り組むとなると、コストをかけて大々的にやらなければいけないと思っているかもしれませんが、身近なことからはじめてみましょう。
国際連合広報センターでは、「持続可能な社会のために ナマケモノにもできるアクション・ガイド(改訂版)」を公開しています。
SDGsは世界的な壮大な目標ではありますが、1人ひとりが小さなことから取り組める目標でもあります。まさに、ナマケモノでもできるということですね!
そこで、国際連合広報センターでは、アクション・ガイドを公開し、誰にでもできることとしています。ここでは、一部を抜粋して紹介します。
レベル1:ソファに寝たままできること
・電気を節約しよう。電気機器を電源タップに差し込んで、使ってない時は完全に電源を切ろう。もちろん、パソコンもね。
レベル2:家にいてもできること
・できるだけ簡易包装の品物を買おう!
・エアコンの温度を、冬は低め、夏は高めに設定しよう!
レベル3:家の外でできること
・買い物は地元で!地域の企業を支援すれば、雇用が守られるし、長距離トラックの運転も必要なくなる。
・詰め替え可能なボトルやコーヒーカップを使おう。無駄がなくなるし、コーヒーショップで値引きしてもらえることも!
レベル4:職場でできること
・あなたの会社はクリーンでレジリエント(強靱な)インフラ整備に投資しているかな?それは労働者の安全と環境保護を確保する唯一の方法。
・職場で「ノーインパクト(地球への影響ゼロ)」週間」を実施しよう。せめて1週間でも、より持続可能な暮らし方について学んでみよう。
引用元:国際連合広報センター「持続可能な社会のために ナマケモノにもできるアクション・ガイド(改訂版)」
まとめ
企業としてSDGsに取り組むとなると、身構えてしまっていたかもしれませんね。しかし、1人ひとりの意識で簡単なことからSDGsはスタートできます。まずはSDGsを理解し、従業員と共有しながら行動してみましょう。