2019年4月から順次施行されている「働き方改革」。 “働く人が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で選択できるようにする”という大テーマに基づいて、国として取り組んでいる課題のひとつです。
2020年からのコロナ禍もあり、さらに働き方が多様化する時代にあって、どのような働き方を選べばいいのでしょうか?
働き方を大きく左右するのが「雇用形態」です。この記事では、そもそも「雇用形態の違いって何?」というところから解説していきます。自分に合った働き方を選べるよう、参考にしてみてくださいね。

正規雇用・非正規雇用の違い

雇用形態には「正規雇用」と「非正規雇用」があります。どこが違うのか、何がメリットで何がデメリットなのかをよく把握しておくと、自分の働き方が選び安くなります。

正規雇用とは?

正規雇用とは一般的に「正社員」と呼ばれる雇用形態を指します。原則として雇用期間の定めがなく、フルタイム勤務で直接雇用であることが条件です。
フルタイム勤務とは、会社が定める正規の勤務時間帯で働くこと。会社の就業時間が9時〜18時であれば、その時間は会社に拘束されている労働時間となります。

ただし、最近では正社員でも時短勤務やフレックス制、テレワークなどさまざまな勤務形態の社員がいるため、労働時間だけで正規雇用と区別するのが難しいことも。
また正規社員は、給与や福利厚生、手当などが非正規雇用より手厚いことが一般的です。夏期・冬期賞与や退職金があるのも正規雇用のメリット。雇用保険や社会保険の加入も必須なので、失業した際や病院へかかる場合にも安心感があります。

非正規雇用とは?

非正規雇用とは、パートやアルバイト、派遣社員、契約社員などをはじめとする正規雇用以外のすべての雇用形態を指します。正規雇用との大きな違いは、雇用期間が決まっている点。
例えば、契約が1年間と決まっていれば、1年後には別の仕事を探すか再契約による更新をしなければなりません。

しかしながら、非正規雇用では自分の空いている時間を有効に使って都合の良い時間帯だけ働くことができます。残業などもほとんどなく、責任が重い仕事も基本的にありません。仕事内容や責任の範囲は契約時にはっきり示されているため、希望と違う仕事を命じられることもほぼないでしょう。

雇用形態の違い

雇用形態は民法623条で定義されているもので、企業と労働者の間で締結する雇用契約の種類のことです。正社員・契約社員・パート・アルバイトなどが雇用形態に当たります。
正規雇用・非正規雇用の違いも踏まえた上で、各雇用形態の違いについて紹介します。

正社員

契約期間に定めがなく、フルタイムで働く正規雇用社員のことを一般的に正社員といいます。
正社員として働くメリットは、安定性があること、待遇面が良いことが挙げられます。同一社内では、ほかの働き方より給与が高いことが多いでしょう。
自分から退職を願い出るか、会社がリストラを行う、倒産するなど余程のトラブルが起きない限り職を失う心配がなく、社会的信用が高いため高額ローンなども組みやすくなります。

一方でデメリットとしては、自分で希望した部署に必ずしも配属されるとは限らず、会社が命じる仕事に従事しなければならない点があります。異動や転勤もあるため、働く場所を選べないことも。
責任ある仕事を任される反面、残業や休日出勤も正社員が負うことが多い傾向です。

契約社員

契約社員は非正規雇用にあたり、有期雇用契約を結んだ社員のことです。労働基準法では原則として最長3年間と定められていますが、実際には1年の労働契約を毎年更新・終了の判断をする企業が多い傾向にあります。

企業と直接契約を結ぶのが特徴ですが、突然契約終了とならないよう、有期労働契約が3回以上更新されているか、1年以上継続している場合には、契約終了30日前までに伝えるよう厚生労働省から指導されています。
呼称は企業によって違うため、契約の際には内容をよく確認しましょう。

嘱託社員

嘱託社員とは、正社員とは異なる嘱託制度によって雇用されることです。有期雇用契約で働きますが、労働時間や労働日などを個別に決めることはできません。
嘱託社員の中でも、以下のように大きく2種類に分類されます。

  • ①定年後に再雇用された労働者
  • ②特殊なスキルや知識を持った人に仕事を依頼すること

①は定年退職後も働く人が増えたため、正社員と区別するために嘱託社員と呼んでいることが多いです。
②の場合は、たとえば医師や弁護士といった外部の人に仕事を頼み、嘱託社員と呼ぶケースです。

パート・アルバイト

正社員より短時間で働く非正規雇用の代表格です。有期雇用・パートタイムの労働・雇用主との直接契約が特徴。パートとアルバイトの区別は法律上ありませんが、アルバイトという呼称は学生やフリーターを、パートは主婦などを指すことが一般的です。
労働基準法では有給休暇、産休、育児・介護休業法では育児休暇の取得が認められており、雇用形態に関係なく条件を満たせば正社員と同様に取得することができます。

またパート・アルバイトともに一定の要件を満たせば社会保険に加入できます。
基本加入条件は、

  • 1週間の所定労働時間と1ヶ月の所定労働日数が、一般社員の3/4であること
  • 2ヶ月を超える雇用契約をしていること

この条件を満たさない場合でも、加入対象となる条件があるので以下の記事で確認してみてください。

参照元:政府広報オンライン「パート・アルバイトの皆さんへ社会保険の加入対象が広がっています」

派遣社員

派遣社員とは、派遣会社と雇用契約を結び、派遣先企業で就業する働き方です。ほかの非正規雇用との大きな違いは、雇用契約を結んだ会社で就業せず、実際に働く会社との雇用関係がないことです。
給与や福利厚生、就業先の紹介やサポート、就業先との交渉事も派遣会社が行います。

契約期間があるため、ひとつの企業で長く働くことはできませんが、異動や転勤などもありません。拘束時間や労働日なども希望できるので、子育て中の人が働き方として派遣社員を選ぶケースも多い傾向にあります。

業務委託

企業などがフリーランスなどの自営業主に対し、業務を依頼することを指します。例えば、広告代理店がフリーのデザイナーにデザインを発注する、原稿執筆をコピーライターに依頼するといった場合です。
ただし、業務委託で交わされるのは委託契約であり、雇用契約ではありません。依頼した業務の成果物に対する支払いが行われ、基本的に依頼主から指揮命令を受けません。従って、業務委託は依頼主に雇用される訳ではなく、あくまでも依頼された業務のみを請け負うことになります。
業務委託は雇用形態には含まれないため、注意してください。

正社員と非正規雇用労働者間の「不合理な待遇差」について

正社員と非正規雇用労働者の間で待遇に差があるのは、仕事の内容や責任の所在・重さが異なる場合には妥当です。しかし、「不合理な待遇差」を設けることはパートタイム・有期雇用労働法や、労働者派遣法によって禁止されています。

「不合理な待遇差」とは、例えば基本給がスキルや経験・業績・勤続年数などに応じて支払うなど、趣旨や性格の違いに応じた賃金の支給をせず、「非正規雇用だから」という理由のみで賃金を低く設定したりすることです。職務の趣旨・性格に照らし合わせた上で、実態に相違がなければ正社員・非正規雇用を区別せずに、同一の賃金を支払う、もしくは違いに応じた支給を行わなければなりません。

企業は待遇差の内容や理由などを、労働者に説明する義務があるので「不合理な待遇差」に注意しましょう。その他の「不合理な待遇差」について詳しくは、以下のガイドラインを参照してください。

※参照元:厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン」

まとめ

雇用形態を知っておかなければならないのは、多くの企業でさまざまな雇用形態が存在する時代になってきたからです。雇用形態が違えば、給与や待遇など諸条件が異なり、働き方が大きく変わる可能性があります。
雇用形態を理解して自分に合った理想の働き方を見つけましょう!

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