求人票を見る際、給与や仕事内容、勤務地は最優先されますよね。最近はそれ加え【福利厚生】も注目されており、見直す企業も多いようです。
今回は、福利厚生の種類や人気のあるものを取り上げていきます。福利厚生の充実は、従業員が心身ともに健康に働くことに繋がります。長い間変えていない、何を導入しようか迷っている方は、参考にしてみてください。

法定福利厚生と法定外福利厚生

福利厚生とは、企業が給与・賞与以外に提供する「報酬・サービス」の総称です。福利厚生は従業員本人だけでなく、配偶者や家族まで含むこともあり、企業が働きやすい環境を提供して能力を発揮してもらうこと、健康で安定した生活を送れるようにすることという目的があります。
福利厚生は「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2つに分けられます。どのように違いがあるのか、その内容はどのようなものかを解説します。

法定福利厚生とは?

法定福利厚生とは、法律で定められた「加入義務がある」もので、6種類あります。

  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 子ども・子育て拠出金

福利厚生は正社員だけでなく、契約社員、パートやアルバイトにも適用されるものです。法定福利厚生は加入するのが義務なので、人気を左右するのは法定外福利厚生と言えますね。

法定外福利厚生とは?

法定外福利厚生とは、法律に関わらず企業が独自に導入できる福利厚生のことです。法定外福利厚生は、主に以下の9種類がありますが、最近では企業理念に基づいたユニークなものも登場。他社との差別化を図る意味でも重要な要素となってきています。
求職者も、どのような福利厚生があるかで企業を選ぶ傾向が見られます。

  • 通勤・住宅
  • 健康・医療
  • 慶弔・災害
  • 育児・介護
  • 自己啓発
  • 業務・職場環境
  • 休暇
  • 文化・体育・レクリエーション
  • 財産形成

人気のある「法定外福利厚生」

法定外福利厚生の中でも特に人気のあるものを紹介しましょう。

住宅手当・家賃補助

住居にかかる費用は、給与の中でも大きな割合を占めています。その補助を会社がしてくれるのは、配偶者の有無や性別・年齢を問わずありがたいもの。
企業側の負担は、一般的に月額10,000〜20,000円程度と比較的負担が大きくなりますが、求職者からの人気は高い傾向にあります。厚生労働省による平成29年職種別民間給与実績調査では、企業の半数以上が住宅手当を支給。採用活動の際のアピールポイントにもできます。

育児・産休制度

育児・産休制度は「法定外福利厚生」になります。
女性はどうしても出産の際には休まざるをえず、その後も子どもを保育園などに預けられるようになるまでは育児休暇が必要です。
育児・産休制度が整っている企業であれば、妊娠・出産後も仕事を続けられるため、女性が安心して働くことができます。

資格取得手当

企業によっては、資格が必要、または資格があると有利な職種があります。有資格者には資格手当が付く場合もありますが、そのためには資格を取らなければなりません。
働きながら資格を取るのは大変なことですが、資格取得のための費用も負担となります。その取得費用か、取得後の奨励金を支給するのが、資格取得手当です。

従業員の資格取得への意欲やモチベーションにも繋がり、企業にとっても従業員のスキル向上となる福利厚生と言えます。

トレンドの「法定外福利厚生」

近年よく導入されている法定外福利厚生を紹介します。中小企業では難しいと思えるものでも、一度見直してみましょう。

食事・昼食補助

健康に気を使う人が増えた中、昼食にも栄養面を考えたい人が多くいます。企業としても従業員の健康のために、社員食堂で栄養バランスやカロリー計算がされたメニューを考案していることも。
また、食事補助チケットを配布したり、栄養バランスを考えたお弁当が届くサービスを導入したりする企業もあります。

導入が難しいように感じますが、食事補助や社食サービスを行っている運営会社と契約することで提供できるようになります。企業の規模や社員数によって費用が異なりますが、大企業でないと導入できないということはありません。

人間ドック

健康診断は定期的に実施していますが、従業員やその家族の健康をサポートするため導入が増えている福利厚生です。人間ドックは、健康診断では検査できない診断項目が充実していますが、費用やスケジュールの関係で個人ではなかなか受けないのが現状。
福利厚生に加えることで、従業員が人間ドックを受けやすくなります。人間ドックでストレスチェックを行うことも可能なので、心身の健康を保つと同時に、職場環境の見直しにも役立ちます。

宿泊・レジャー施設等の割引

2019年4月1日に施行された働き方改革により、有給休暇を利用して余暇を過ごす人が増えています。しかし、宿泊やレジャーにはお金がかかるもの。そこで企業が契約した施設を、従業員がお手頃な値段で利用できるようにする福利厚生が人気となっています。

従業員とその家族も利用できるため、家族での旅行やレジャーはもちろん、社員同士の交流にも利用できます。自社で保養所などを所有するケースもありますが、宿泊施設やレジャー施設と契約し割引制度が利用できるようにするのが多いようです。

福利厚生導入のポイント

福利厚生を導入するなら、注意してほしいことがあります。また自社で導入が困難であれば、福利厚生を代行するサービスもあるので紹介します。

福利厚生を導入する上で注意したい点

福利厚生を新たに導入しようと考えているなら、どの福利厚生にするか考えるにあたり、以下の点に注意しましょう。

  • 全員が等しく使えるか
  • 本当に必要であるのか
  • 費用・管理面で可能かどうか

福利厚生は、従業員とその家族が利用できる企業サービスです。せっかく福利厚生を導入したのに、一部の従業員しか使えないのでは意味がありません。企業の特性や職種をよく考慮し、全従業員が同等に利用できるかどうかを検討しましょう。

また、目新しい、話題性があるという理由で福利厚生に導入したい場合でも、本当に必要であるのか、維持していける費用なのか、管理体制は整備できるのかなどもしっかり考えてください。

福利厚生代行サービスを利用する

住宅手当や通勤手当など、お金に関する福利厚生は、自社で導入しやすいでしょう。ただし、社員食堂や宿泊・レジャー施設の割引制度などは、自社で導入し管理していくのが困難です。
そこで、福利厚生サービスを提供する企業に委託すれば、自社の総務や人事へ業務負担をかけることなく導入することができます。

従業員の数が多い企業は、1人当たりの料金が低くなるため、サービスを利用する方が費用面でも管理面でもお得になります。

まとめ

最近では、求人票の中でも福利厚生が就活生や転職活動中の人によく見られる傾向にあります。福利厚生の充実度で、応募する会社を決めているのですね。採用活動のアピールポイントとして、福利厚生は求人原稿にも積極的に記載することをおすすめします。