就職氷河期は、ロストジェネレーションとも呼ばれる就職難の時代です。この時期には、特有の採用傾向があり、その世代にも特徴があります。
2019年6月に、政府が就職業氷河期世代への支援プログラムを発表。3年間という期間限定で採用支援をしています。
コロナ禍による「第二の就職氷河期」が懸念される今こそ、就職氷河期の採用支援を活用してチャンスを掴みましょう!

就職氷河期とは?

就職氷河期とはどのような時代で、どの時期を指しているのでしょうか。自分が当てはまるかどうかもチェックしてみてくださいね。

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就職氷河期ってなに?

若い世代には知識としてしか知らない「バブル経済」という時代がありました。1980年代中頃から不動産や株式などは根拠なく異常に高騰し、日本企業は海外へ盛んに進出。雇用や賃金も拡大。企業は新卒内定者を他企業に取られないために、無料で海外旅行に招待するなどをしていた、超売り手市場だったのです。

ところが実体経済とかけはなれた好景気状態は長くは続かず、1990年に当時の大蔵省は「不動産融資総量規制」を実施。バブル期に投資のために購入した土地や株を、人々が一気に手放したために地価も株価も大暴落し、バブル経済は崩壊しました。

バブル崩壊後、深刻な不況となり当然ながら雇用にも悪影響を及ぼしました。バブル期に雇用が拡大していたために、企業は人件費を削減するため新規採用を抑制します。大企業でもリストラの嵐が吹き荒れて求人倍率が急落、「就職氷河期」と呼ばれる就職難が発生しました。

就職氷河期世代とは?

バブル崩壊後、日本経済は長い低迷期となり、バブル崩壊後から10年間の経済は「失われた10年」と呼ばれるようになりました。
そのため「就職氷河期世代」は1990年代から2000年代の、雇用難の時期に就職活動をした世代のことを指します。

具体的には、1970年〜1980年生まれ(2022年時点で42歳〜52歳)の人です。しかしながら、政府の「就職氷河期世代の支援プログラム」では「概ね35歳以上55歳未満(※2022年時点)」としているので、幅広く支援を受けることができます。

就職氷河世代が抱える問題点

バブル経済から崩壊を経て、就職氷河時代を経験した人たちが抱えている問題は深刻です。
まずは新卒時の就職率が低いために、30代になってもキャリアが形成されず、非正規雇用の割合が高いということ。ほかの世代と比較すると、新卒の就職率は大卒で約10%、高卒で約7%も低くなっています。

また景気の低迷により給与の伸び率が落ち込み、就職氷河期世代はバブル世代と比較して年収が低く、生涯年収も低いとみられています。非正規雇用の期間が長いと、将来の年金額も少ないため老後も不安を抱えることになります。

これらの理由から就職氷河期世代は晩婚化が進み、30〜50代で育児中の人が多くいます。同時に親が後期高齢者となる世代でもあり、育児とともに介護という問題も抱えることになっていきます。
このような就職氷河期世代を正規雇用へ導くため、採用支援プログラムが採択されました。

参照元:内閣府「人口減少時代における働き方を巡る課題」

就職氷河期世代の採用支援プログラム

重い問題を抱えた就職氷河期世代のために、2019年6月に政府によって策定された、採用支援とはどのようなものでしょうか。3年間限定の集中プログラムなので、該当する求職者や採用活動をしている企業は注目です!

専門窓口を設置

ハローワークでは就職氷河世代の専門窓口を設置しています。専門担当者が無料で受講できる職業訓練の提供や、安定した就労に有効な資格習得をサポート。さらに求人とのマッチングや就職、正社員登用への実現を目指していきます。

リカレント教育の整備

リカレント教育(学び直し)を整備し、社会人がスキルを磨くために再度学校へ通えるよう、短期集中型の講座や職場実習などが受けられるようになっています。
条件を満たせば、教育訓練給付金やキャリア形成促進助成金も活用可能。詳細は、ハローワークで相談してみましょう。

アウトリーチ型の支援

就職氷河期世代で、何らかの理由で自らハローワークや支援機関に足を運ぶことが困難な人のために、職員が出向いてくれるアウトリーチ型のサポートも強化されています。
例えば、仕事をしていない方に就職実現の基盤整備をする「地域若者サポートステーション」や、「ひきこもり地域支援センター」が関係機関と連携して就労や社会参加への支援があります。

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就職氷河期世代の採用における企業側のメリット

就職氷河期世代の採用支援では、採用を行う企業側としてもメリットがあります。

助成金の支給

就職氷河期世代を積極的に採用し、人材育成をするための助成金制度があります。

①トライアル雇用助成金
常用雇用への移行を目指すことを目的とし、一定期間試行雇用した場合の助成金。

②特定求職者雇用開発助成金
就職氷河期世代で、正社員になったことがない、少ない人を正社員で雇用し、定着させた企業への助成金。

③人材開発支援助成金
非正規雇用から正規雇用への転換を目的とし、訓練を実施する企業への助成金。

④キャリアアップ助成金
企業内の非正規雇用労働者を正規雇用労働者に転換させた企業への助成金。

助成金に関する詳細は、厚生労働省のHPをご覧ください。

年齢の限定募集が可能

通常の求人では、原則として年齢制限をすることが禁止されています。しかし、就職氷河期世代(35歳以上55歳未満 ※2022年時点)に限り、年齢を限定して募集や採用することができます。
条件は以下の通りです。

  • 仕事をしていない人や不安定な就労をしている人が対象であること
  • 期限を決めない労働契約を締結すること
  • 「職業に就いた経験がある」を求人の条件にしないこと

ハローワークで募集していれば、自社ホームページや求人広告、民間の職業紹介事業者への求人も可能です。
ただし、2023年3月31日までの期間限定となります。

就職氷河世代の特徴

期間限定とはいえ、該当する人にとってはスキルアップや正社員として就職するチャンスと言えます。企業にとっても良い人材を雇用する好機です。ロストジェネレーション特有の特徴をみてみましょう。

成果主義で優秀

バブル期は人材に余裕があった企業も、景気の急降下により「即戦力・少数精鋭」を求めました。とはいえ、企業はコスト不足により教育が十分に行えず、就職氷河期世代は自力で乗り越え成長してきたという背景があります。

そのため、結果を出すことにフォーカスした成果主義の人が多く、仕事に対して厳しい面があるようです。転職市場においても、この世代は優秀という評価がされています。

資格取得者が多い

就職難であったため、スキルや資格を身につけようとした世代でもあります。非正規から正社員を目指して努力したり、万が一リストラや会社の倒産があっても困らないために資格を取得したりした人が多いのです。
就職の機会にこそ恵まれてこなかったけれど、高い専門技術を持った人材が期待できます。

まとめ

就職氷河期世代に当たり、これまで正規雇用の経験がない、またはあまりない人にとっては、正社員になるビッグチャンスです。良い人材を発掘したい企業にとっても、大きなメリットがあります。期間限定の今こそ、求職者も企業も、就職氷河期世代の採用支援を活用してみてはいかがでしょうか?