「社内インセンティブ制度あり」という文言を、求人票などで見かけたことがあるでしょう。
インセンティブというと、営業職のイメージが強いですが、実はどの職種であっても導入が可能です。
今回は、社内インセンティブとは何か、また歩合制やボーナスがどのように違うのかを説明し、メリット・デメリットについても解説します。
具体的な社内インセンティブの成功例を紹介しながら、インセンティブ制度について見ていきましょう。
社内インセンティブ制度って何?
社内インセンティブは、売上などの数字で査定され、給与やボーナスに反映されるものと想像しがちですが、本当の意味のインセンティブとは何でしょうか?
インセンティブとは
「インセンティブ=incentive」は英語で「報奨金」という意味があります。しかし、ほかにも意欲を起こさせるもの、またその刺激となるものという意味合いがあり、語源はラテン語の「励ます」から来ているのだとか。
つまり、インセンティブとは売上に応じて支払われる金銭報酬だけでなく、評価されたり、承認されたり、達成感を味わったりすることもインセンティブとなるのです。クライアントから感謝されることでも励みになりますよね。
このように、本来インセンティブとは、個人が個人の価値観でモチベーションが上がることを指しています。
インセンティブ制度と歩合の違い
インセンティブとよく混同されるのが「歩合制」です。
歩合制とは成果に対する歩合(報酬)が支払われるもので、雇用関係にある場合は給与のすべてを歩合にする「完全歩合制」を採用することはできません。
完全歩合制は、100%成果報酬となり固定の給料がないため、仕事で成果がなければ給与はゼロとなります。これはフリーランスの人に「外注」をする場合などの「業務委託契約」の場合のみ、労働基準法で認められています。
さて、雇用契約での歩合とは、例えば「売上の10%が給与となる」などの歩合率の契約を結び、基本給にプラスして報酬が支払われます。固定給が20万円で100万円の売上をあげたとしたら、10万円がプラスされ、その月の給与は30万円となります。
インセンティブ制度も似た制度ではありますが、違いはインセンティブが「目標を達成したら利益の○%を支給する」のに対し、歩合制は「利益の○%を支給する」という点です。
インセンティブ制度とボーナスの違い
ボーナスとは一般的に企業全体の業績に対して支給されますが、インセンティブは個人の成果に対して支給されます。
どちらも基本給以外の一時金として出されますが、ボーナスで成果を実感することはあまりないかもしれません。
インセンティブの種類
「励ます」という意味合いがあるインセンティブは、5つの種類があります。それぞれを説明します。
物的インセンティブ
インセンティブと聞いて最初に思い浮かべるのが物的インセンティブでしょう。成果が給与やボーナスに反映されるもので、営業職などに多く導入されています。
給与やボーナスだけでなく、チケットや商品券などもこれに含まれます。
評価的インセンティブ
個人の成果を表彰したり昇進したりすることで評価すること。全社員の前で評価したりすることで、個人の達成欲を満たし、他の社員のモチベーションを上げることも期待されます。
人的インセンティブ
尊敬している上司のために努力するなど、人に貢献することで結果的に業績が上がることを指します。人間関係が良好な場合には人的インセンティブが発生しやすくなります。
理念的インセンティブ
会社の理念に共感して発生する動機付けのことです。企業理念や価値観などによって社員のモチベーションを上げ、会社や社会に貢献したいという動機付けとなります。
自己実現インセンティブ
個人の理想や使命感などを、やりがいのある仕事を通じて達成し、成長や働きがいを感じるものです。例えば、責任ある仕事を任せたり、権限を持たせたりすることで自己実現インセンティブが上がることもあります。
社内インセンティブのメリット・デメリット
社員のモチベーションをあげるための社内インセンティブですが、メリットがあればデメリットもあります。どちらも知っておくことがうまく導入するコツです。
社内インセンティブのメリット
- 社員のモチベーションが上がる
- 評価基準が明確になり不公平感が減少
- 優秀な人材を確保できる
- 健全な競争により組織や個人が成長する
社内インセンティブによって、このようなメリットがあげられます。特に金銭や評価といった目に見えるインセンティブは、個人の承認欲求や達成感を満たすことができ、他の社員にとっても刺激となりモチベーションを上げることができます。
また、インセンティブの導入によって曖昧だった評価基準が明確になり、個人のやるべきこともハッキリ方向性が示されるため、不公平感が減ります。
インセンティブは優秀な人ほど有利になるケースが多いため、優秀な人材を確保しやすくなります。インセンティブに魅力を感じる人は、成果を上げる自信があるということも言えるでしょう。
インセンティブ導入によって、これまで漠然と働いていた組織に競争が生まれます。競争を健全なものにコントロールできれば、切磋琢磨する生産性の高い組織や個人の成長につながっていきます。
社内インセンティブのデメリット
- 短期的な利益ばかり追求する
- プレッシャーを強く感じてしまう
- 一部の人だけ評価されモチベーションが下がる
- 物的インセンティブには限界がある
インセンティブがあるばかりに、目の前の利益ばかり追って視野が狭くなることがあります。また人によっては成果がなかなか上がらないことで強いプレッシャーを感じてしまうでしょう。
優秀な人は常に有利ですが、一部の人ばかりが評価され続けると全体のモチベーションが下がる可能性も。さらに物的インセンティブには、どれだけ成果を上げても報酬には限界があります。
単純にインセンティブを導入してしまうと、デメリットの悪循環になりかねません。
社内インセンティブの成功例
社内インセンティブ制度で成功した事例を紹介します。
独自の社内ポイント制
インセンティブ制度として独自の社内ポイント制度を実施。成果だけでなく、プロセスや社員同士の360°評価を仕組み化し、ポイントを細かく貯められるようにしました。小さな評価でもポイントになるため、若手や新人でも成功を積み重ねられ、自信やモチベーションが向上しました。また社員同士でポイントを贈り合うことも可能で、コミュニケーションが円滑になりました。
全社員に個人レベルのインセンティブを付与
全国組織の営業を主体とした企業では、社内表彰制度の評価的インセンティブが導入されていました。ところが営業成績にだけ与えられた制度だったので、一部の社員しか評価されませんでした。そこで全社員に個人レベルのインセンティブを付与し、見えない努力を評価することに。すると会社全体の志気が高まり、営業の稼働率も約2倍に向上、会社としての目標も達成できました。
まとめ
社内インセンティブの導入は、メリットばかりではありません。将来的に見たデメリットもシミュレーションし、自社に向いているインセンティブを導入すればモチベーションや成果が上がる可能性があります。
はたらくぞドットコムに掲載されている求人では「月給○○万円+歩合」と表記されているのが物的インセンティブとなります。探してみてくださいね!