スポーツ庁によると、日本人が座っている時間は世界で1番長く「7時間」にも及ぶとか。
そして、この“座りすぎ”が健康に少なからず良くない影響を与えていることもわかってきました。
テレワークも増え、デスクワークがメインになった人も多くなり、腰や肩、メンタルなどに不調を訴える人も増える傾向にあります。
今回は、座りすぎがもたらす健康リスクと、座りすぎ解消方法を紹介します。不調を感じている人は、試してみてくださいね。
デスクワークの健康リスクとは?
座りっぱなしによる健康リスクは、思っている以上に大きな影響を及ぼしています。どのようなリスクがあるか見てみましょう。
- 腰痛・反り腰
- 肩こり
- 眼精疲労
- 肥満
- ストレス
腰痛や肩こり、眼精疲労などは自覚症状が出やすく、多くの人がデスクワークが原因だと認識しているのではないでしょうか。また、肥満になるのは座りっぱなしによる運動不足によるもので、血流や代謝が悪くなっているためです。
腰痛や肩こりなどの症状も、血流に大きく関係しているため、「座りすぎで動かない=運動不足」と言えるかもしれません。
ストレスなどのメンタルヘルスも、座りすぎによるものであることがわかってきています。
座りすぎはなぜ健康に悪いの?
では、座りすぎの何が健康に悪影響を与えるのでしょうか?それは、全身の筋肉の約70%が存在している下半身が、長時間座り続けることで停止した状態になってしまうからです。
ふくらはぎが「第二の心臓」と呼ばれることはよく知られていますが、ふくらはぎは心臓から離れた場所から、血液を押し戻すポンプの役割をしています。
しかし、座り続けているとふくらはぎの筋肉が働かないため、血流が滞って代謝が低下し、さまざまな不調につながっていくのです。夕方には足がむくんでパンパンになるという人は、座りすぎが原因の可能性があります。
さらには、筋肉は使わなければどんどん減っていくため、肥満や糖尿病といった健康被害をもたらすリスクが高まってしまいます。
座りすぎを解消するには?
「デスクワークなのだから長時間座るのは仕方ない」と諦めていませんか?座りながらでもできるストレッチや、健康リスクを少しでも減らす方法を紹介します。
30分に1回は立ち上がって動く
座りすぎを解消するには、座る時間を短くするという当たり前のことが大切です。デスクワークでも、30分に1回は立ち上がり少し動くことを心がけましょう。
オフィスでは、可能なら立って仕事をしたり、こまめにコピーや書類を取りに行ったり、社内メールや内線を使わず直接伝えに行ったりと、工夫することが大切です。
家でくつろいでいるときでも、立つことを促すアプリを使ったり、少しの隙間に家事をしたりして、動くことを意識してみましょう。
座ったままできるストレッチをする
【ふくらはぎ】
椅子に座ったまま右足のふくらはぎを左足の膝頭にのせ、右足の自重で膝に圧をかけながら、ゆっくり右足を下に下げていきます。
ふくらはぎの中心・外側・内側と、1カ所につき5回程度を目安にマッサージしましょう。
筋肉の深いところをマッサージできるので、血流をよくするとともに、むくみ防止にもなります。飛行機や新幹線などに長時間座っているときにも、エコノミー症候群予防に行いましょう。
【肩】
①肩をぎゅっと上げて息を止め、息を吐きながらストンと一気に落とします。10回程度繰り返しましょう。
②手を肩の高さで水平にまっすぐ伸ばし、そのまま両手の平が肩の位置にくるまで肘を引きます。肩甲骨が動くことを意識しながら、10回程度行います。
【首】
①左腕を降ろし、右手で左側の頭部を持って右斜め前に倒します。15〜30秒ほどキープし、反対側も同様に行います。
②手を胸の前でクロスさせ、親指がそれぞれ反対の鎖骨にかかるよう胸の前に軽く置きます。
首を45°右に曲げ、そこから左肩を見るように左に45°ゆっくり回します。反対側も同様に行います。
首はデリケートな神経がたくさん集まっている部位なので、急に激しく行わず、ゆっくり伸ばしてください。
【腰】
①椅子に浅めに座り、右足を左足の上のせ、4の字になるように組みます。骨盤を起点に、背筋をまっすぐに伸ばしたまま、前へおじぎをするように倒れます。呼吸も意識しながら約10秒間。足を組み替えて反対も行いましょう。
②椅子に座ったまま右足を上にして足を組み、左手を右足の膝にひっかけるようにして腰を大きくひねります。足を組み替え、反対側も同様にひねります。各10秒程度行ってください。
座り姿勢を見直す
そもそも座っている姿勢が悪いことで、腰や肩に負担がかかっていることもよくあります。座る時間を短くしたとしても、座ることは避けられませんから、正しい姿勢を意識しましょう。
姿勢を正すだけでも腰痛や肩こりは軽減できます。
【正しい座り姿勢】
- 座骨を椅子の座面に当て、深く座って背筋を伸ばす
- 膝は約90°に曲げ、かかとまで地面に足裏をつける
- 頭はまっすぐ背骨にのせるイメージで重心をキープし、顎は引く
- パソコンの高さは目線の高さになるよう調節する
「座る・立つ・動く」のバランスを考える
座りすぎを解消するのに、どの程度立って動けばよいのかを、アメリカのコーネル大学教授が人間工学から見た理想のバランスを以下のように提唱しています。
- 座る……20分
- 立つ……8分
- 軽い運動……2分
この30分のサイクルが理想的な「座る・立つ・動く」のバランスだそうです。とはいえ、オフィスでこの通りに実行するのは難しいので、紹介したような座ったままできる簡単なストレッチや、座り姿勢の見直しを行ってみましょう。
デスクワークをサポートするグッズ
オフィスのデスクや椅子が体に合っていないことで、姿勢が悪くなっていることもあります。しかし、オフィスのデスクや椅子を替えるのは難しいですし、自宅であっても買い替えるには費用がかかってしまいます。
そこで、デスクワークの姿勢をサポートするためのアイテムがあるので、取り入れてみるのもいいでしょう。
機能性クッション
椅子の上に置くだけで、正しい姿勢のキープをサポートしてくれるクッションがあります。長時間座っているときの、おしりの痛みも軽減してくれます。
背中に当てるタイプのクッションもあるので、自分に合ったものを選んでみてください。
パソコンスタンド
パソコン画面が目線の高さより低すぎると、どうしても背中が丸まり、姿勢が悪くなる原因になります。デスクや椅子の高さ調整だけでは難しいため、パソコンを載せたり傾けたりして調整できるパソコンスタンドがあると便利です。
まとめ
デスクワークによる長時間の座位は、思ったよりも心身に大きな負担をかけていることがわかります。腰や肩の痛みは、ストレスをより強めてしまいますので、日ごろから姿勢に気をつけて、ストレッチなどできることから取り入れていきましょう。
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