新年度になり、新入社員や入社間もない中途採用の社員がはつらつと働いていることでしょう。一方で入社してから「ブラック企業に入社してしまったのでは?」と不安を抱く人もいます。
万が一、入社した会社がブラック企業かもしれないと思った時、どのように対処したらよいのでしょうか。
今回はそんな不安感に襲われた時に、本当にブラック企業かどうかを見極めるポイントや、実際にブラック企業だった場合に相談する先や対処法を紹介します。

ブラック企業の見極め方

ブラック企業かも?と不安になったとき、どのようにしてブラック企業かどうかを見極めればよいのでしょうか。ポイントを解説します。

ブラック企業とは?

よく耳にする「ブラック企業」ですが、厚生労働省では明確な定義をしていません。しかしながら一般的なブラック企業の特徴は、厚生労働省でも位置づけており、以下のようになります。

①労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
②賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
③上記のような状況下で労働者に対し過度の選別を行う など

これらに該当するようなブラック企業に入社してしまった場合、会社に対して問題点の改善を求めることが望ましいのですが、現実的には社員が単独で交渉などを行うのは難しいでしょう。

出典:厚生労働省「確かめよう労働条件 Q&A」 

ブラック企業の特徴は?

厚生労働省の位置づけを踏まえながら、さらにブラック企業の特徴を具体的に見ていきましょう。

  • 1.残業時間が1ヶ月に80時間を超えている
  • 2.給料が最低賃金を下回っている
  • 3.残業代が出ない
  • 4.休日が少なく、有給を取らせてもらえない
  • 5.産休・育休を取らせてもらえない
  • 6.各種保険に加入していない
  • 7.退職させてくれない
  • 8.離職率が高く、人の入れ替わりが激しい
  • 9.常時採用活動を行い、新入社員の数も多い
  • 10.パワハラ・モラハラの横行

上記の1〜7に関しては、労働基準法によって定められていますので、明らかな法律違反となります。会社がこれらに当てはまるかどうか、よく確認してみましょう。

ゆるブラック企業もある

労働環境は厳しくないけれど、自分や企業の成長が見込めない企業を「ゆるブラック企業」と呼ぶことがあります。ブラック企業に比べると働きやすいとはいえ、スキルアップやキャリアアップ、給料アップなどは望みが薄くなります。

一見ゆるくて居心地が良く、長年勤務している社員も多くいて良さそうな企業なのですが、やりがいやスキルアップしたい人にとっては、モチベーションが下がってしまう企業と言えるでしょう。

ブラック企業とまでは言えない事項

ブラック企業を見極める上で大切なのは、単なる不平不満と区別することです。ここではブラック企業とまでは言えない事項を紹介します。

  • 想像していた仕事と違った、会社がつまらない
  • 仕事の難易度が高く失敗が多い
  • 上司の指導が厳しすぎる
  • 生活リズムが合わずに体調が悪い
  • 学生のときより自由な時間が減った など

これらが行きすぎるとブラック企業となる場合もありますが、程度の問題ですのでまずは信頼できる人に相談してみましょう。この段階では、家族や友人で構いません。
仕事には我慢や努力は必要とはいえ、ブラック企業である場合には速やかに対処した方が良いため、できるだけ早く相談して見極めましょう。

【全国版】求人を探す
<都道府県を選ぶ>

ブラック企業とわかったらどうする?

ブラック企業かどうか慎重に見極めた結果、ブラック企業だとわかったらどうしたら良いのか説明します。

すぐに退職の意思表示をする

退職したいという意思表示は、ブラック企業だと判断したらすぐに行ってください。ブラック企業ほど退職を認めないことが考えられるため、退職願は早く出した方が早く辞められる可能性が高くなります。

万が一、退職届を受理してくれない、そもそも受け取ってくれないなどの対応をされた場合でも、民法に定められたルールによって原則退職を申し出てから2週間経過すれば退職できます。
ただし、ブラック企業は知らない・聞いてないなどと言い逃れをすることもあります。内容証明で退職願を送るなど、提出したことの証拠を残しておくことが大切です。

できるだけ早く転職する

ブラック企業とわかった場合、できるだけ速やかに退職し転職することを考えましょう。我慢や努力でどうにかなる事案ではありませんし、長く我慢し続けることで身体を壊したり、精神的に病んでしまったりする可能性もあります。

新入社員であれば入社してすぐ辞めることで、職歴に傷がつくと悩む人もいるでしょう。しかしブラック企業である場合、入社後すぐに退職しても、退職理由をきちんと説明できるようにしておけば、転職に不利になることはほとんどありません。空白の期間が長くなると転職に不利になってしまうので、転職活動はすぐにでも行いましょう。

新卒資格を失い、転職時には第二新卒となってしまいますが、それでも早く次のステップへ進む方が有意義です。

違法の証拠を収集しておく

新卒入社でも中途入社でも、ブラック企業を辞める際には損失を埋めることも可能です。例えば、未払いの残業代などを請求することができます。そのためには、法律違反に当たる労働問題についての証拠集めが必要です。

ただし、悪質な企業は違法行為の証拠を残さないためにさまざまな手を使ってくるので、退職前に証拠をしっかり集めておきましょう。
しかし心身の健康を脅かすような悪質なブラック企業であるなら、すぐに退職した方が得策です。

【全国版】求人を探す
<都道府県を選ぶ>

ブラック企業に入社してしまった場合の相談先は?

ブラック企業に入社してしまったら、どこに相談したらよいのでしょうか?ケース別におすすめの相談先を紹介します。

ハラスメントを受けている場合【労働局】

社内でいじめやパワハラなどを受けている場合には、「労働局」へ相談しましょう。厚生労働省が管轄する機関で、労働問題に関する幅広い内容を相談できる窓口です。

会社でのハラスメントなどさまざまな問題を相談するだけでなく、紛争の仲裁をしてくれることもあります。どこに相談したら良いかわからない場合には、まず労働局に相談すると良いでしょう。各都道府県に設置されています。

労働条件に関する相談【労働条件相談ほっとライン】

厚生労働省がブラック企業対策として設置している、電話相談窓口です。ブラック企業で働いていても相談できるよう、平日夜間や土日などでも受付時間に幅があります。

残業が多すぎる、残業代が未払い、長時間労働やハラスメントが原因の健康被害などを無料で相談できます。

労働条件相談ほっとライン 
電話:0120-811-610
受付時間:月〜金/17:00〜22:00 土日/10:00〜17:00

損害賠償や残業代を請求したい場合【弁護士】

未払いの残業代を請求したい、過酷な労働環境のせいで病気になった治療費を請求したいなど、損害を会社に補償させたい場合には弁護士に相談しましょう。
基本的には民事責任の追及ということになるため、弁護士でないと解決できないことがあります。弁護士は会社との交渉や退職代行も行ってくれます。

【全国版】求人を探す
<都道府県を選ぶ>

まとめ

ブラック企業に就職してしまったことは、本当に残念です。しかし改善が見込めない以上、長く居続けても時間を無駄にしてしまうだけと割り切り、早急に退職・転職を考えましょう。
はたらくぞドットコムでは、よりよい転職をお手伝いしています。