せっかく採用した社員が、早期に辞めてしまうのは企業として大きな損失です。採用コストや教育コストはもちろん、離職率が高い企業はイメージも悪くなってしまいます。
今回は、早期離職者を出さないために、採用段階からできること、採用後〜定着までにできることを考えていきます。
まずは早期離職の原因を探り、どのように対策をすればよいか解説します。
早期離職の原因を知ろう
早期離職とは、入社後3年以内に辞めることをいいます。早期離職者を出さない対策を練るには、その原因を知る必要があります。早期に退職してしまう理由はどこにあるのでしょうか?
早期離職率はどのくらい?
早期離職を語る上でよく耳にするのが「七五三現象」です。これは新卒の離職率を学歴別に表したもので、中学卒は約70%、高卒で約50%、大卒で約30%が早期離職することによります。
現在多少の変化はあるものの、大卒より高卒の離職率が高い傾向にあることは間違いありません。
業種別に離職率の高いものを見ると、宿泊業・飲食サービス業で高卒者は61.1%、大卒者で51.5%と、いずれも高い離職率となっています。次いで生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業、小売業、医療、福祉と続きますが、高卒・大卒でその順位は同じです。
また、中途採用者の早期離職率についても、約50%という結果が出ており、年代では35〜39歳が最も多くなっています。
参照元:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00004.html)
ビズリーチ(https://media.bizreach.biz/14158/)
早期離職の理由は?
新卒・中途採用ともに、早期離職率が高い傾向であることがわかりますが、その理由は双方に共通しています。以下に、早期離職の主な理由を挙げます。
- 給与や待遇の不満
- 理想と現実のリアリティショック
- 人間関係、社内の雰囲気への違和感
- 企業の将来性が不安
- ワークライフバランスへの不満
参照元:エンジャパン(https://corp.en-japan.com/newsrelease/2019/19432.html)
早期離職者を減らすためには、企業側でもこれらの理由があることを知り、自社がどのような状況であるのか、改善すべき点はないのか検討する必要があります。
特に長年見直しをしていない企業は、現在の働き方や待遇と大きくズレている可能性も。早期離職者を出さないためには、彼らがなぜ辞めていくのか、本当の理由を知らなければなりません。
早期離職を防ぐために、採用段階でできること
早期離職を防ぐことは1つの対策だけでは困難です。まずは採用段階からできることを考えてみましょう。
労働条件の見直し
早期離職の大きな理由のひとつに、給与や待遇に不満があることがあります。またワークライフバランスなど労働環境への不満もあがっています。
政府の働き方改革や、コロナ禍を経て働く環境や働き方も大きく変化してきました。企業の方でも変えざるを得ない部分があったことでしょうが、給与や働き方、福利厚生、ワークライフバランスなど、自社の現状が求職者から見て魅力的かどうか見直してみましょう。
給与や待遇面は簡単に変えられるものではありませんが、少しでも働きやすいようにという視点で見直すことが大切です。
求人票の書き方
多くの求職者が求人サイトやハローワークなどの求人票を見て応募します。求人票に良い部分ばかり書いたり、現実離れした給与のモデルケースを掲載したりすると、ウソではないけれど大きなギャップを感じてしまいます。
魅力ばかりアピールするのではなく、あえて厳しい面も伝えて「乗り越えたときによりやりがいを感じる」などとした方が、入社後に違和感を覚えることが少なくなります。
面接においても同様のことが言えるので、何をどう伝えるのかは熟考しておきましょう。
構造化面接を行う
構造化面接とは、面接官によって採用基準にばらつきが出ないよう、選考基準や質問事項などを決めておき、その手順通りに面接を行うことです。
どの求職者にも同じように接することができ、公平性が向上するだけでなく、自社への適性も的確に見極めることができます。
ただし、選考基準や質問事項、その順番が見極めの重要なポイントとなるので、経営陣と採用担当者でしっかり練っておく必要があります。
現社員との交流
入社前と入社後に大きなギャップを感じてしまわないよう、面接で来社した際などに希望する職種の現社員との交流を図るのもおすすめの対策です。
現場の先輩の声は何よりもリアリティがあり、求職者にとってはどのような仕事をするのか、どのような雰囲気の会社なのかという参考になります。
万が一この段階で内定辞退する人がいても、入社後に早期退職するよりは損失も少なくてすみます。
早期離職対策:採用後〜定着まで
早期離職を防ぐために、採用後から定着までできる対策を紹介します。
有意義に感じる仕事への取り組み
入社して間もなくは覚えることも多く、仕事に対してやりがいを感じることはほとんどありません。しかし何事においても基礎やトレーニングは面白くないもので、早く結果が見えることがしたい、結果が出れば面白いものでしょう。
例えば、ピアノ初心者でも楽譜の読み方を習うことや、指の動かし方のトレーニングばかりの練習では楽しくありません。少しずつでも曲が弾けるようになることこそ、練習が楽しくなる一歩でもあります。
新人にいきなり任せられる大きな仕事はありませんが、今やっていることにゴールや結果が見えれば仕事は楽しくなります。最初は小さなゴールで構わないので、成果を出せるように工夫して仕事を教えていけばモチベーションも高く保つことができます。
今やっていることは基礎かもしれないけれど、有意義だと感じられるよう、仕事への取り組み方を工夫してみましょう。
1 on 1ミーティング
上司と1対1で話す機会を設ける「1 on 1ミーティング」は、最近よく取り入れられている手法です。しかしながら、せっかく本音で話せるようにと設けたミーティングなのに、結局は上司と業務の話しかしなかった、上司からの要望ばかりで終わったということも少なくありません。
1 on 1ミーティングでは新入社員の本音を聞くことに徹しましょう。つい上司の立場からアドバイスしたくなりますが、聞いている方がお説教と受け取っては1 on 1ミーティング自体を嫌になってしまいます。
言いやすい雰囲気を作り、楽しみにしてくれるような1 on 1ミーティングが行えれば辞めたいと思っていることに早期に気づくこともできます。
上司の指導力を上げる
早期離職の原因が、上司であることも珍しくありません。命令口調の言葉づかいであったり、理不尽と感じてしまう指導法であったり、原因はさまざまですが、離職率の高い部署があるなら管理職のマネジメントスキルを見直すことも必要です。
管理職まで登り詰めたのだから仕事はできるのかもしれませんが、部下の指導スキルが高いとは限りません。
管理職にある社員の指導力を上げることも、早期離職を防ぐ大きなポイントとなります。
まとめ
早期離職は企業にとって頭の痛い問題です。採用コストや教育コストの面からも損失となってしまうだけでなく、優秀な人材の流出はもっと大きな痛手となってしまいます。
早期離職防止対策はすでに採用前から始まっていると考え、できる対策からしっかり行っていくことが大切です。
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