新卒で入社すると「とりあえず3年」という言葉をよく耳にすることでしょう。これは「3年は働いてから転職した方が良い」という意味で使われていますが、なぜ入社3年と言われているのでしょうか。
今回は、入社3年以内に転職するのは不利なのかについて解説します。早期の転職はデメリットばかりではなくメリットもあるため、両方を踏まえて考えていきましょう。

なぜ「転職は3年働いてから」と言うのか?

世間では新卒の転職は「とりあえず3年働いてから」という風潮があります。これはかつて終身雇用が一般的で年功序列の慣習があった日本の企業において言われていた通説とされます。

つまり、入社して3年間は「下積み時代」のようなもので、社会人としてさまざまなことを身につけ、出世コースにうまく乗った方が良いとされていたのです。

しかしながら現在では雇用システムが異なってきており、この通説は誰にでも当てはまらなくなってきました。むしろ早期に転職した方が良いケースもあるため、「入社後3年」はあくまでも目安くらいにしましょう。
とはいえ、転職する・しないの判断は真剣に、慎重に行うことが大切です。

新卒者の入社3年以内の離職率は1/3

厚生労働省が発表した新卒者の離職率を見ると、高卒で37.0%、大卒で32.3%となっています。大卒の場合、1年目・2年目・3年目で辞める率はあまり変わりませんが、高卒は1年目で辞める人が15.1%と最も多くなっています。
3年以内の離職率を産業別にみると以下のようになります。

  • 宿泊業・飲食サービス業 51.4%
  • 生活関連サービス業・娯楽業 48.0%
  • 教育・学習支援業 46.0%
  • 医療・福祉 38.8%
  • 電気・ガス・熱供給・水道業 10.5%
  • 鉱業・採石業・砂利採取業 13.5%

※(%)は大卒の離職率

宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業では高卒、大卒ともに離職率が高い傾向にあります。
一方、電気・ガス・水道業、熱供給、鉱業、採石業、砂利採取業などは3年以内の離職率が低くなっています。

※参照元:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和2年3月卒業者)を公表します」

入社3年以内の転職のメリット

面談

入社3年以内で転職することにもメリットはあります。どのような点が有利になるのか把握しておきましょう。

第二新卒に応募できる

求人では「第二新卒」という文言をよく見かけます。第二新卒は明確に定義されてはいないものの、一般的には入社3年以内の25歳以下を指しています。
現在は売り手市場であり、企業の方でも若手を積極的に採用する傾向にあります。第二新卒は社会人は経験しているけれど、まだ前職の社風に染まり切っておらず、教育コストを抑えつつ新人として成長が期待できる人材として注目されているのです。
3年以内に転職すれば、第二新卒に応募できます。

未経験の仕事に挑戦しやすい

多くの企業が中途採用者に求めるのは、即戦力としてのスキルや実績です。そのため3年以上働いてからの転職は、前職を活かせる業界の方が有利といえます。
しかし3年以内での転職ではスキルを期待されるというより、今後の成長やポテンシャルを重視されます。そのため過去の経験に縛られず、新しい業界や未経験の職種に挑戦しやすくなります。

年収のアップ

一般的な中小企業で入社3年以内なら、給与は平均的な場合が多いでしょう。しかし第二新卒で大企業や給与水準の高い業界に転職すれば、年収アップが期待できます。
さらに専門的な知識やスキルがあれば、前職での経験がなくても給与が上がることがあります。

ただし年収アップが目的での転職なら、事前に自分の知識やスキルの市場価値を客観的に把握しておきましょう。スキルが不十分であれば、転職に成功できないこともあります。

入社3年以内の転職のデメリット

入社3年以内に転職することは、どのように不利になるのでしょうか。デメリットこそしっかり把握して、自分のケースが当てはまるのかよく検討してみましょう。

十分なスキルも社会人経験もない

入社して3年以内の転職では、十分なスキルも身に付いておらず、社会人としての経験も少ないと判断されます。そのため転職活動でアピールするポイントが少なくなり、転職に不利になることが考えられます。
前職での経験やスキルがない分、自分を何でアピールできるかをよく考えてみましょう。

「すぐ辞めるかも」と思われる

採用担当者はできるだけ長く働いてもらいたいと思って面接をします。そのため3年以内の転職は、なぜ前職を辞めたのか、なぜ自社に応募したのかを気にするでしょう。
明確な目的ややりたいことがアピールできない場合には、「またすぐ辞めるかも」と思われる可能性が高くなります。
転職の目的をしっかり持ち、志望動機を強くアピールすることが大切です。

退職金がもらえない可能性がある

一般的な企業の福利厚生は、勤続年数が長いほど大きな恩恵が受けられるようになっています。3年以内で退職すれば、福利厚生が適用されない場合もあります。
例えば、通常退職金は給与や勤続年数によって算出されますが、3年以内に辞めると最大額が出ないこともあります。そもそも3年以内の退職に退職金が支給されない企業も多いので注意してください。

こんな場合は早く辞めた方が良いかも!

入社後3年は働いた方が良いというのも間違いではありません。しかし早く辞めた方が良い場合もあるので、例をあげてみます。

はっきりと目的や目標・やりたいことがある場合

3年以内の転職はデメリットもあります。しかしメリットがあるのも事実なので、明確な転職目的や目標がある場合にはチャレンジしてみるのも良いでしょう。20代は限られた短い期間ですので、時間を無駄にせず挑戦するのは大切なことです。

したくもない仕事を「3年はがんばらないと」という気持ちだけでダラダラと続けても、経験もスキルも身に付きません。それどころか「やりたいことがあるのに、なぜ早くやらないの?」と転職に不利になることさえあります。
ただし自分の知識やスキルの価値をしっかり見極めて、慎重に行うことが大事です。

劣悪な職場環境の場合

長時間労働や嫌な人間関係、上司のパワハラやセクハラ、残業代の支給がない、休日出勤が多すぎる、昇給がないなど、いわゆる「ブラック」と呼ばれる労働環境なら早めの転職が良いこともあります。

我慢してがんばった結果、心身に不調をきたして仕事さえできなくなるケースもよく耳にします。
体調を崩す前に、早めの転職を検討してみましょう。

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まとめ

入社3年以内に退職する人は大卒で3人に1人です。3年は働いた方が良いことも確かですが、3年以内の転職にはメリットもあります。早期の転職を考えているなら、今一度自分が本当にやりたいことを見つめ直してはいかがでしょうか。
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