街を歩いているとき、オフィスビル、イベント会場、駅や空港、ショッピングモールなどで、警備員を見かけることがあります。警備員とは具体的にどのような仕事をしているのでしょうか。
ここでは警備員の仕事内容や必要なスキルについても解説します。また警備員に向いている人の特徴やキャリアアップなどについても触れていきますので、警備員のアルバイトに興味のある人は参考にしてみてください。

警備員の仕事内容

警備員とは「保安職」に分類される仕事で、「警備業法」という法律に則って行わなければなりません。警察官や自衛官と同じ分類となり、法律により研修を受ける必要があります。
警備業法上で仕事内容が区分されているので解説します。

1号警備

【施設警備】
オフィスビルや商業施設、マンションなどにおいて、事件・事故・犯罪の防止を目的とした警戒を行う業務です。施設の出入口の監視、立哨、施設内を巡回して不審者や不審物をチェックするなど、さまざまな仕事があります。

ショッピングモールなどの商業施設では、お客さまの案内や迷子対応なども行います。

【機械警備】
機械警備とは、設置されたセキュリティシステムなどが異常を検知して作動した場合、現場に出動して対応する業務のことです。

防犯カメラの普及により機械警備の需要も高くなっており、監視センターなどを用いた警備も増えています。
セキュリティシステムは熱感知センサーや空間センサーなど、多様な種類があるため機械についての知識も必要です。

2号警備

【交通誘導】
工事現場や大規模店舗、イベント会場など混雑が予想される場面で、車両を適切に誘導する業務です。周辺道路の状況なども確認し、人や自転車などの通行状況も把握しながら事故やトラブルのないよう交通規制を行います。

【雑踏警備】
音楽イベントや花火大会、大規模スポーツ大会など、人出の多い会場などで混雑を解消し事故やトラブルを防ぎます。多くの人が集まると将棋倒しなどの事故が発生しやすいため、警備員はスムーズな動線を確保して適切に誘導します。

3号警備

【貴重品運搬警備】
現金や美術品、有価証券などの貴重品を、盗難などを警戒しながら目的地まで輸送する業務です。
特別車両での運搬となるため、運転や貴重品の積み下ろし時の警戒も行います。
警備会社によっては、ATMへの現金補填や金融機関などの入金業務も請け負っています。

【核燃料物質等危険物運搬】
核燃料、汚染物質、危険物質などを運搬します。盗難や強奪の警戒はもちろん、汚染、飛散などに対する厳重な警戒も必要です。警備対象である危険物への専門知識も求められます。

4号警備

【身辺警護】
身辺警護とはボディガードのことです。警備対象者の近くで常に警戒し、危険やトラブルから身を守ります。
近年は要人や著名人だけでなく、DVやストーカー対策として一般の人が4号警備を利用するケースが増えています。

警備員に必要なスキルは?

警備員になるために資格や経験は必要ありません。ただし、警備会社は警察を管理する行政委員会である「公安委員会」の認定を受けており、従業員に研修を行う義務があります。

警備業法という法律によって「新任研修」を実施するよう規定されているため、基本教育・業務別教育を合計20時間以上受けなければなりません。
未経験であっても警備会社のアルバイトに応募し、採用された後の研修となることが一般的なので、知識や経験がなくても警備員になることは可能です。

警備員になれない人もいる

警備員は法律で規定された「欠格要件」があり、これに該当すると警備の仕事には就けません。

  • 18歳未満の者
  • 成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ないもの
  • 禁錮以上の刑、又は警備業法違反罰金刑での執行を終わる等して5年を経過しない者
  • 最近5年間に、営業停止命令等違反、又は警備業務に関して重大な不正行為で「警備業の要件に関する規則」(昭和58年国家公安
  • 委員会規則。以下「要件規則」という。)で定めるものをした者
  • 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為等で要件規則で定めるものを行うおそれがある者(暴力団員等)
  • 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に基づく再発防止命令又は中止命令を受けた者で3年を経過しないもの
  • アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
  • 心身の障害により警備業務を適正に行うことができない者として国家公安委員会規則で定めるもの

参照元:地方創生推進事務局「警備業法の概要」 

警備員に向いている人とは?

警備員に向いている人はどのようなタイプなのでしょうか。すべてに該当する必要はありませんが、当てはまる部分があり警備員の仕事に興味があれば応募を検討してみてください。

責任感が強く真面目な人

警備とは人々を守る仕事です。警備にはそれぞれルールや規定があり、1つの不注意で大きな事故に繋がるリスクもあります。ときには人の命にも関わる重大事であるため、責任感の強さと真面目さは警備員の重要な要素です。

自分の持ち場を守り業務内容を責任持って遂行できる人でなければ、人々の安全をお任せすることはできません。

人とていねいに関われる人

警備員は警備対象者とのコミュニケーションをとりながら業務にあたります。また警備対象が人でない場合でも、一緒に警備にあたるスタッフとの連携は必須です。

警備対象者が要人である場合もあるため、きちんとした挨拶や礼儀正しい言葉づかい、正確な情報伝達能力なども必要となります。

体力に自信がある人

警備員が求められるシーンは、屋外で立ちっぱなしであったり、長時間の警戒であったりと過酷な状況も多く、ある程度の体力が求められます。

暑さ・寒さや天候に関わらず、外で長時間の警備に当たることもあるため、体調管理ができ常に良い体調でいられることも大切な要素です。

警備員のキャリアアップ

未経験・無資格からスタートできる警備員ですが、1号〜4号のそれぞれに資格がありキャリアアップが目指せます。3種類の国家資格があるので紹介します。

警備業務検定

警備業務検定はそれぞれに1級・2級があります。1級を取得するには2級取得後、当該種別の警備業務に関する1年以上の実務経験が必要になります。
検定は、以下の6つに分かれています。

  • 施設警備業務
  • 空港保安警備業務
  • 交通誘導警備業務
  • 雑踏警備業務
  • 貴重品運搬警備業務
  • 核燃料物質等危険物運搬警備業務

警備員指導教育責任者

警備員を指導・教育するための資格です。警備員として働くために、基本教育と業務別教育を合計20時間以上受ける必要がありますが、これらの研修を実施できるのは有資格者か、同等の知識・経験があることを国家公安に委員会に指定された人のみです。

さらに警備会社の各営業所で扱う警備区分ごとに、警備員指導教育責任者の有資格者を、警備員の指導・教育する立場として配置しなければならないと警備業法に定められています。
そのため警備員指導教育責任者の資格があれば、警備会社にとって欠かせない人材となるでしょう。

機械警備業務管理者

機械警備業務管理者とは、監視カメラやセンサー、警報器などの機械を用いた警備に関し、高い専門知識と業務管理能力を持つことを示すものです。機械の運用・管理のみならず、機械警備における警備員の指導や教育も行えます。

また機械警備を行う警備会社は、基地局ごとに機械警備業務管理者の有資格者を選任する必要があるため、資格を持っていると有利になります。

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まとめ

警備員はアルバイトで募集していても、きちんと法律に則った研修を受けてから現場に配置される仕事です。
未経験から挑戦でき、キャリアアップのチャンスも十分にある仕事なので、まずは応募することから始めてみましょう。
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