社労士事務所は「社会保険労務士事務所」の略で、社会保険労務士が労働や社会保険、人事労務管理の専門家として業務を行う事務所のことです。
そこで行う事務スタッフの仕事内容とは、どのようなものでしょうか。必要なスキルや資格、やりがいなどを解説します。
社労士事務所の事務スタッフとは？
一般企業の事務スタッフとは違い、社労士事務所では労務の知識が必要な仕事が多くなります。どのような仕事内容か、みていきましょう。
労働保険・社会保険の書類作成
社労士事務所は、企業がクライアントとなります。本来は企業が行うことを、専門家として労働保険や社会保険の手続を代行します。
例えば従業員を雇用した際の各種保険の加入手続、退職したときには資格喪失の手続や離職票の作成などを行います。
企業から従業員の個人情報を預かるため、情報漏洩などにも気を使う必要があり、責任のある仕事です。
書類提出の代行
作成した各種手続に必要な書類は、行政機関に提出する必要があります。以前は窓口に行き提出していましたが、近年は電子申請が可能なものも増えてきました。郵送での提出もあります。
とはいえ、実際に行政機関に出向く場合もあるため、応募条件として普通自動車免許が必要な社労士事務所もあります。
就業規則や社内規定の作成・修正
労働法や社会保険関連の法律は、頻繁に法改正が行われます。改正された法律に則る必要があるため、クライアント企業の就業規則や社内規定を見直し、新たに作成または修正しなければなりません。
就業規則の作成や修正は専門性が高く、業務そのものは基本的に社労士が担当しますが、社労士の指示により、資料準備などの事務作業を担当します。
給与計算
給与計算は一見社労士とは縁のない業務に思えますが、法改正などに対応して正確な給与を計算するのが困難な企業から依頼があることがあります。
勤怠管理情報から、給与計算ソフトを用いて給与明細を作成します。給料日にきちんと支払うことができるよう、スケジュールを守って給与計算することが重要です。
社労士事務所によっては、年末調整を請け負うこともあります。
労務相談のヒアリング
社労事務所では、顧客企業の労務相談に対応しています。例えば、経営者と従業員間でのトラブルや、従業員に併せた適切な対応など、法律に則ったアドバイスを行います。
さらには法改正があった場合、顧客企業へわかりやすく伝え、労務に関わる最新情報を経営者に提供する役割も担っています。
これらの業務は国家資格を持つ社労士が行いますが、事務スタッフでも経験を積み信頼を得れば、社労士が不在のときや、多忙ですぐに対応できない場合などにヒアリングを任されることがあります。
社労士事務所の事務スタッフに必要な資格やスキル
社労士事務所の事務スタッフに求められる資格やスキルを紹介します。
高い事務処理能力
社会保険の手続や給与計算など、社労士事務所の業務ではミスが許されないものが多くあります。
そのため社労士事務所の事務スタッフには、正確かつスピード感のある高い事務処理能力が求められます。
経理ほどではなくても、数字を扱う機会も多いため、数字に強いことも必要です。
ミス防止に取り組める能力
社労士事務所では、1人で10社近くの手続を担当することもあります。顧客企業の社会保険、労働保険、給与など、従業員の生活に関わる重要情報を扱うため、ミスが許されません。
万が一ミスがあれば、顧客企業からの信頼を失いうだけでなく、顧客企業が損賠賠償責任を負うリスクもあります。
そのため、自分で二重チェックしたり、提出前に再確認したりするのはもちろん、複数人で必ずチェックするなどのミス防止にしっかり取り組める能力が求められます。
コミュニケーションスキル
社労士事務所は少人数で運営していることが多く、規模が大きい場合でもチームを作って業務を担当することがほとんど。そのため社労士を中心として1つの業務をチーム全体で進めていくことになります。
スムーズに業務を進行するには、常にコミュニケーションを取り、周囲の状況を考えながら臨機応変に対応できるスキルが必要です。
また、経験を積めば顧客対応をする場合もあるため、高度なコミュニケーション能力が求められるようになります。
社労士事務所の事務スタッフのやりがいは？
社労士事務所で働く事務スタッフのやりがいはどのようなものか、みていきましょう。
課題解決で感謝される
社労士事務所の顧客はほとんどが中小企業です。業務内容は専門性が高いため、国家資格を持った社労士が行いますが、そのアシスタント的な役割を担う事務スタッフも、日々顧客とコミュニケーションを取ります。
複雑な課題を抱えた顧客が、解決した際に感謝の言葉をかけてくれることがあり、大きなやりがいを感じるでしょう。
緊張感の中の達成感がある
ミスが許されない業務が多いため、日々緊張感のある中で仕事をしています。精神的な負担はありますが、ミスなく正確に業務をこなしていく達成感もあります。
経験を積むことで、ミスのない仕事ぶりが信頼され、徐々に顧客のヒアリングなど専門性の高い仕事を任される可能性もあります。
社労士事務所の事務スタッフに向いている人は？
どのような人が社労士事務所の事務スタッフに向いているのか、みていきましょう。
社労士の資格を取得したい人
社会保険や労務などの仕事に興味があり、将来は社会保険労務士の資格を取得したいと考えている人は、社労士事務所の事務スタッフとして働くことに意味があります。
実際の業務を間近でみて、事務業務を行うことが、資格取得の勉強に大いに役立つからです。業務なので自然と繰り返し行うため、実務レベルで知識が身に付いていきます。
また社労士からの勉強方法などのアドバイスがもらえる可能性もあります。
細かい書類作成や計算が得意な人
社労士事務所での書類作成や給与計算は、細かいうえにミスが許されません。これが苦になる人にとっては、かなりキツイ仕事といえます。
ただし書類作成や数字を扱うことが得意な人にとっては、非常にやりがいのある仕事といえます。
チームワークを大切にできる人
社労士事務所ではチームで業務を進めることが多くなります。社労士を中心として、全員で協力することが業務成功のカギとなるため、お互いのスケジュール管理やスタッフ間のコミュニケーションが欠かせません。
自分の業務だけでなく、チーム全体の業務状況を意識しながら行動できる人は、社労士事務所でも信頼される存在になるでしょう。
まとめ
社労士事務所は専門性が高く、業務の範囲も広いのが特徴です。事務スタッフも専門知識が必要な場合があり、将来社労士の資格を取得したい人にとっては、働きながら実務を勉強できる機会となります。
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